スカパー!4K HDR放送に本腰--Jリーグルヴァンカップを専用中継車で放送

 スカパーJSATホールディングスの子会社であるスカパー・ブロードキャスティングは3月17日、4K HDR中継車「SR-1」の完成披露会を開催した。4月12日に放送するJリーグYBCルヴァンカップで本格導入する。

 4K HDR中継車は、全長11メートル、全幅2.495メートルの大型トラック。中継車本体の機能を担う「SR-1」と、80kVA発電発動機を備えた支援車「SA-1」の2台1組で稼働する。


中継車「SR-1」
  • 後方には出入り口とはしご

  • 前方から見ると通常のトラック

  • 80kVA発電発動機を備えた支援車「SA-1」

 SR-1には、スイッチング、サブ、クオリティコントロール、ビデオエンジニア、システムなどを設け、4K映像の素材入力からスイッチング、エフェクト処理、スーパーインポーズなどの作業が可能。SA-1は、SR-1やその他機材に電源を供給するほか、機材を下ろしたあとの荷室を多目的スペースとして使用できる。

  • 前方にはSUB卓、SW卓など。写真はSUB卓

  • こちらはSW卓

  • 後方にはクオリティコントロール(QC)、ビデオエンジニア(VE)などが座る席がある。写真VE

  • クオリティコントロールでは、上の大きなモニタでHDR、下の小さなモニタでSDR画質をチェックしている

  • 入口近くの端子盤

  • ケーブルは天井にまとめて配置。写真のように取りまとめたものが車内にいくつかあった

 スカパー!では、HDRフォーマットを「4K HDR S-Log3/BT.2020」(S-Log3)で統一。必要な放送方式には、S-Log3をBT.2100(HLG/ST2084)、BT.2020(4K SDR)、BT.709(HD SDR)などへ最終段で変換処理する。

 今後はHDRとSDRを同時に処理するサイマル制作の増加が予想されるが、それについてはHDRとSDRのゲイン差をつけることで対応する方針。ゲイン差の設定値は収録環境の明るさによりケースバイケースだとしているが、マイナス4~10dB程度の差をつけるという。


制作ワークフロー

 中継車のSR-1は拡幅ができ、用途に応じて室内を広げることが可能。スイッチング卓が前後にスライドするほか、スイッチングパネルも左右に移動ができ、広い制作環境を確保できる。

スカパーJSATホールディングス代表取締役社長である高田真治氏
スカパーJSATホールディングス代表取締役社長である高田真治氏

 スカパーJSATホールディングス代表取締役社長である高田真治氏は「スカパー!では、4K画質による生中継を2012年に実施し、2015年には商用放送をスタート。2016年10月からは4K HDRの試験的に取り組むなど、積極的に展開してきた。新しい中継車はスカパー!だけでなく、広く外部の皆さまにもご利用いただき、4K放送コンテンツを作ってほしいと考えている」とコメントした。

 同日には、4K、8K対応のスカパー!マルチアンテナ「SP-SHV100D」も発表。これは2018年12月より実用放送の開始が予定されているBS、110度CSの4K、8K放送を含む、国内すべての衛星放送に対応できるもの。発売は4月1日で、税込価格は1万2000円になる。

 BS、110度CSの4K、8K放送では、現在使用している右旋円偏波に加え、左旋円偏波も使われるが、現在のアンテナは右旋円偏波にしか対応していない。新アンテナでは左旋円偏波にも対応していることが特長だ。

 高田氏は「このアンテナを付けておけば、2018年以降は対応チューナを購入するだけで4K、8K放送が見られることを、4Kテレビ購入者などに店頭で説明していきたい」とした。

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