参加者は18歳から80歳以上まで、「多種多様」とHernandez博士は話す。「だが、自分の情報がほかの人の健康に役立つということに、大いに関心を示してくれる人も多い。自分たちは研究の先駆けであり、早くから健康状態の全貌を解明しようとする取り組みに参加しているのだと意識している。それも、自分の健康のためだけではなく、より大きな利益のために」
Project Baselineでは、参加者から集めた情報をもとにデータセットを構築する。例えば、睡眠時間、運動量、食事の内容、ワクチンの接種、血液検査や聴力測定の結果といった情報だ。
スタンフォード大学医学部のMinor博士は、次のように語った。「一般的に想定される、あらゆることを測定する。ゲノム配列決定、マイクロバイオーム(身体の微生物群)、イミュノーム(免疫系を構成する一連の遺伝子とタンパク質)などをすべて扱っており、Verilyはこのプロジェクトのために独自のウェアラブルも開発した」
一部のデータは、参加者が記入するアンケートから、あるいはProject Baselineのスタッフが直接実施するテストから集められるが、データの多くはプロジェクト参加者が装着するVerily独自の医療研究用機器からも送られてくる。
ここで使われるのが、Alphabetの子会社であるライフサイエンス企業Verilyによって設計、開発されたスマートウォッチだ。Verilyは2015年に創設され、「健康に関するデータを収集、整理するツールを開発し、そのデータから得られた知見を活用して総体的なケアマネジメントに役立てる支援体制とプラットフォームを築く」ことを事業内容としている。その研究対象は、手術用ロボットから、スマートコンタクトレンズ、糖尿病患者のためのブドウ糖監視ハードウェアなど多岐にわたる。
Verilyが開発したスマートウォッチは、一般的なウェアラブル機器より多くのセンサを内蔵しており、装着者の心拍数、皮膚電位、慣性運動といったデータも記録できる。バッテリの持続時間も平均より長く(充電の必要が少なくなるほど、装着者が取り外すためにデータを収集できない時間が短くなる)、保存できる情報も多いため、同期の回数も少なくて済む(ちなみにGoogleは、このデータをターゲティング広告に利用することはないとしている。プロジェクトのウェブサイトには、「Googleはコンピューティング、アナリティクス、データ処理能力を提供するが、ユーザーの情報を広告目的で販売することはない。ユーザーの情報はすべて、暗号化されたセキュアなデータベースに保存されており、アクセスは限定されている」と書かれている)。
このようなすべてのデータを集める目的は、どんな経緯で、なぜ、いつ、特定の人が病気になるのか、病気にならない人がいるのはなぜかを把握することにある。その上で、生活習慣と遺伝子の情報に基づき、すべての人々に該当する知見を得ることを目指している。
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