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盛り上がる「レンディング」の今

3分で審査、1秒で入金--海外で中小企業向けレンディングが普及した理由

内山誓一郎(クレジットエンジン)2018年02月09日 16時00分
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 FinTechにおける中小事業者向けのレンディング領域は、日本においても盛り上がりを見せつつあるが、その進化は米国や中国に大きく後れを取っているのが現状である。昨今は中国におけるモバイルレンディングに関する特集が多く見られ、3分で審査、1秒で入金など、日本のサービスでは成し得ていないレベルのレンディングサービスが広く普及してきている。

 オンラインレンディングが進む海外において、この領域がどのように成長してきたのかを見ることで、日本におけるオンラインレンディングが今後どのように成長するかの参考になればと思う。

レンディングサービスの普及にはリーマンショックの姿あり

 既存の金融融資とは異なる「オンランレンディング」という新しい融資サービスは、約10年前に生まれ、米国において少しずつ成長をしてきた。マーケットの背景としては、2008年のリーマンショック以降に銀行に課せられた厳しい融資制限が挙げられる。

 自己資本の拡充・経営の安定化のために課せられた融資制限により、銀行は中小企業に対しての融資を減らさざるを得なく、オンラインレンディングを手がけるスタートアップがマーケットに入り込む余地を生み出した。もちろん、テクノロジの側面では、サーバコストの減少や、モバイルの拡大も大きい。

 オンラインレンディングサービスの特徴は、既存の融資サービスにはなかったUXという概念を融資の世界に持ち込んだことにある。日本でも同様だが、銀行に対して融資を申し込もうと思うと、担当者との面倒なコミュニケーションが必須であり、少なくとも1カ月、長いと2〜3カ月の期間を必要とする。また、事業契約書やキャッシュフローなど、銀行が求める資料リストに対応する必要があり、中小事業者は慣れない資料作成に時間を取られることになる。

 一方、レンディングサービスは、ウェブによるわかりやすい申し込みフローを提供することでユーザー獲得の道を作った。また、オンラインデータを取得することで、より粒度の細かいデータの取得ができ、人手による面談などの手続きを代替する手段を構築した。

 背景としては、米国において「Quick Books Online」や「Xero」といったオンラインの会計サービス、「Square」や「Paypal」のような決済サービスがちょうど勢力を拡大していたことも大きい。これらのサービスのデータを取得することにより、事業計画書などの面倒な資料がなくとも相応のリスク判断を実施できる体制を構築したのだ。

 これにより、米国におけるオンラインレンディングの領域は2016年において、バランスシート型は融資実行総額60億ドル超(消費者向けはさらに大きく、マーケットプレイス型で 210億ドル、バランスシート型は30億ドル)の規模まで拡大している。ユーザーは、ウェブ、モバイルの進化によりオンラインで融資のソリューションを探す行動が増えており、オンランレンディングはうまく顧客獲得をする手段を得たのである。

 一方で、マーケットの拡大により多くの問題も発生している。競争の激化による、マーケティングコストの上昇である。新しいサービスに対して比較的ハードルを感じることなく導入することができる層、マーケティング用語でイノベータやアーリーアダプタの層を超えて、次のアーリーマジョリティの獲得となってくると、また必然的にコストが拡大してくる。

 この問題の解決にあたり、オンランレンディグ事業者は既存金融との提携という道を見出した。従来、オンラインレンディング事業者は既存金融に敵対する存在とみられる場合も多かったが、実は互いにパートナーとなりうる道を見つけている。それぞれの強みを生かしたのである。

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