スポーツ専用の映像配信サービス「DAZN」は1月25日、2018年事業戦略説明会を開催した。2017年を振り返ったほか、今後放映予定のスポーツコンテンツや導入を計画しているサービスなどについて発表した。
「業績は好調。2017年8月の時点でユーザー数は100万人を突破し、その後も伸びている。JリーグやVリーグなど国内のスポーツリーグと連携することで、投資するコンテンツを増やし、2018年度もユーザー数を伸ばせると信じている」――DAZN CEOのJames Rushton(ジェームズ・ラシュトン)氏は、2018年の抱負をこう話した。
2017年は年間7500試合以上をライブ中継で配信。スマートフォンやタブレット、PCに加え、テレビでも視聴できるマルチデバイス環境を整え、「fans first」の姿勢を貫く。「2017年の始め、バッファリングの問題で苦戦したが、ロンドン、日本のチームが改善に力を注ぎ、2017年2月時点で1.2%だったものが0.2%まで低下。この数値は業界スタンダードと同等だが、目標としてはゼロにしたい」(Rushton氏)と、配信環境を大きく改善した点も訴えた。
さらなる機能強化として、ユーザーが興味があるコンテンツの配信時を教えてくれたり、好きなプレーヤーがゴールを決めた時などに通知がくる「フォロー機能・プッシュ通知」、ユーザーの好みを学習し、視聴頻度の高いコンテンツを探しやすくする「パーソナライゼーション機能」、オフラインの環境でも視聴ができる「ダウンロード機能」を発表。
なかでもダウンロード機能は「日本で特にニーズの高い機能だと聞いている。欧州サッカーのファンが使えば、夜中の試合のコンテンツが朝ダウンロードされているため、通勤や通学途中ですぐに見られる」と新たな視聴方法を提案。ダウンロードできるコンテンツについては「ほぼすべてのコンテンツ」としており、ライツ契約の関係上、すべてではないとした。新機能の導入については「2018年の取り組み」とし、詳細な日程は明らかにしなかった。
DAZNでは、スポーツごとの季節性を配慮し、シーズンオフの際に一定期間キャンセルができる「ポーズ機能」を導入しているが、「かなりファンから好評をいただいている。この機能は私たちがいかにファンを大事に思っているかがわかる機能の1つ」(Rushton氏)と表現した。
会場には2017年10月にDAZNアンバサダーに就任した、プロボクサーの村田諒太選手が登場。「ボクシングだけやっていると同じ動きになる。サッカーを見て走り方の研究をしたり、ほかの選手の活躍をみてモチベーションをあげたりするために、DAZNを視聴している。試合のハイライトシーンなどがあるので、とっつきやすく、興味を引きやすい映像構成になっていると思う」と自身の視聴の仕方を紹介した。
もう一人のスペシャルゲストとして登場した、日本プロサッカーリーグ理事長の村井満氏は、DAZNと組んで体制を大きく変更した2017年のサッカー中継に対し「大きく変貌を遂げた。DAZNから多くを学び、中継制作をJリーグでやることになった。数多くの動画データはウェブサイト上などに拡散することで、関心を得られ、2017年のJリーグ来場者数は過去最高、さらに平均年齢が下がり、新たなファンを獲得できた。これらはDAZNのサポートによるところが大きく、感謝している」とコメント。2018年は新たな取り組みとして「FRIDAY NIGHT J.LEAGUE」をスタートすることを発表した。
2017年から取り組む、通常よりもカメラ台数を増やし臨場感ある試合を中継する「サンデー・Jプライム」と、複数の試合が視聴できる「Jリーグ・ゾーン」を推進するほか、J1リーグにおける、カメラの台数を12~18台まで増やし、中継のクオリティを向上させる方針。DAZNコンテンツ制作本部長の水野重理氏は「スポーツ中継は、どれだけ臨場感を出せるかが決め手。Jリーグの映像を数年以内に欧州のプレミアリーグなど世界的な最高水準にまで上げ、さらにそれを越えていきたい。Jリーグの映像が世界をリードしていくことを目指している」と意欲を見せた。
DAZNでは同日、2018年自転車競技ロードレースの配信ラインアップを発表。1月28日に世界各国60レースをライブ配信することなども発表している。
Rushton氏は「DAZNは順調なスタートを切った。2018年も大胆で思い切った提案をし、投資、パートナーシップを拡充する戦略を図る。これからも事業を伸ばしていく」と締めた。
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