スポーツ専門のVODサービス「DAZN」は、日本でのサービス開始1周年にあたり、記者説明会を開いた。DAZN CEOのJames Rushton(ジェームズ・ラシュトン)氏が「100万は超えた」と契約数を明かしたほか、マルチデバイス戦略やパートナーシップなどについて話した。
DAZNは2016年8月に日本でローンチ。月額税別1750円でサービスを提供している。2017年8月には、東京・大門のオフィスに加え、六本木に新オフィスを開設。Rushton氏は「新たにオフィスを増やしたことからも事業が伸びていることがわかる」とコメントした。
この1年で配信したのは7500試合、総時間数は2200万時間を超える。「コンテンツの拡充に力を入れている」(Rushton氏)との通り、ブンデスリーガ、ラ・リーガサンタンデール、プレミアリーグ、セリアA、リーグ・アンなど、欧州サッカー5大リーグをすべて視聴できるほか、ボクシング「メイウェザーvsマグレガー」を独占生中継するなど、積極的にコンテンツへの投資を続ける。しかし「スポーツ、イベントには投資を続けても、ユーザーとの約束は守る。月額サービス料を変える考えはない」と、今後も価格を据え置くことを発表した。
同様に注力しているのが、マルチデバイス化だ。8月8日には「PlayStation 3/4」にも対応し、ゲーム機からセットトップボックス(STB)、テレビなど、対応デバイスを拡充。なかでも大画面であるテレビでの視聴に重きを置く。
「Jリーグの配信が始まった際に『テレビで見られないのか』という問い合わせをたくさんいただいた。今までJリーグを楽しんでもらったテレビというデバイスをDAZNでもそのまま楽しめることをプロモーションしていかなければならないと思った」(DAZN 日本社長&マネージングディレクターの中村俊氏)と、戦略は明確だ。
DAZNによると、モバイル、タブレットで視聴しているユーザーはテレビよりも多いが、テレビでの視聴者は平均視聴時間が長いとのこと。「テレビで視聴しているユーザーはよりサービスに集中できる。モバイルは移動中などのスキマ時間、テレビは自宅でゆっくりという視聴傾向が出ている」(Rushton氏)と言う。
こうした傾向を受け、ビッグスクリーンキャンペーンを展開。8月27日から、妻夫木聡さんと和田アキ子さんを起用したテレビCMを放映している。Rushton氏は「大画面で視聴するユーザーの数を増やせるようアピールしている。CM制作からもわかるよう、サービス自体が日本市場に合わせたものになっていることを感じて欲しい」とした。
一方、パートナーシップ戦略も続ける。Jリーグでは、16台のカメラを導入した「サンデー・Jプライム」、同時に3試合のチャンスシーンが見られる「Jリーグ・ゾーン」などのコンテンツを提供。「次のステップではさらに改善していきたい」(Rushton氏)と意欲を見せる。
また、「DAZN for NTTドコモ」(月額定額:980円/ドコモ利用者)を提供するNTTドコモに対しては「素晴らしいパートナー。全国に2400店舗あるドコモショップは、Jリーグのチームが活動している地方にもあり、DAZNの普及に重要なポイント」(Rushton氏)とコメントした。
現在、日本のほか、ドイツ、スイス、オーストリア、カナダでもサービスを開始しており、全世界5カ国で展開。契約数に関しては「数字は出さない方針だが、7ケタ以上の数字になってきた。すなわち100万は超えた。ビジネスは計画通り進んでいる」(Rushton氏)ことを明らかにした。
Rushton氏は「2016年は4カ国、2017年は1カ国でサービスをローンチした。今後も年間3〜4カ国くらいでサービスを導入していきたい。課題は配信コンテンツの権利がとれるかどうか。ここには常に取り組んでいく。日本は2020年に東京オリンピック、パラリンピックを控え、スポーツへのニーズが高まっている。DAZNのためだけでなく、スポーツ業界の発展のためにビジネスをやっていきたい」と今後について話した。
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