AbemaTVは、インターネットテレビ局として展開している「AbemaTV」において、ゲームをテーマにした新チャンネル「ウルトラゲームス」を1月21日から開設。その経緯や狙いについて、チャンネルプロデューサーを務めるサイバーエージェント 取締役の山内隆裕氏に聞いた。山内氏は、eスポーツイベント「RAGE」、ゲーム実況やプレイ動画ライブ配信プラットフォーム「OPENREC.tv」を運営するCyberZ代表取締役社長もあわせて務めている。
ウルトラゲームスは、さまざまなゲームの情報を紹介する番組や実況プレイなど、多彩な番組で編成されたゲーム専門チャンネル。全般的なところでは、スマートフォンやコンシューマゲームを軸に、親和性の高い周辺分野も取り込み番組を展開するという。話題の新作やIPを活用したタイトルの紹介番組のほか、声優やアイドル、ゲーム実況プレーヤーやYouTuberなどといった、周辺分野で活躍するアーティストなどを起用した番組、そしてeスポーツ系の番組を中心に放送を考えているという。
開設時点でのレギュラー番組では、 ポケットモンスターシリーズの対人バトル「ポケットモンスター ウルトラサン・ウルトラムーン」にフォーカスした「P-Sports~目指せ、ポケモンバトルマスター!~」をはじめ、さまざまなジャンルで活躍するアーティストたちが、ワケありな野菜になって登場し、ゲームを中心にトークなども行う「わけありベジー」、最新のゲーム情報や企画を行う「アゲナイッ!」(ABEMA GAME NINE)などを予定。
開設を彩る特別番組としては、1月21日20時から「『モンスターハンター:ワールド』4時間生放送で一狩り行こうぜSP!」を放送。1月26日発売予定の「モンスターハンター:ワールド」をテーマに、次長課長の井上聡さんや麒麟の川島明さん、本作のプロデューサーを務めるカプコンの辻本良三氏らが、キャラクタークリエイションやクエストなどを発売前に最速プレイ。独占情報も公開予定としている。
1月27日21時からは「モンスターストライク」(モンスト)をテーマとする「モンスト 1000万個オーブ(12億円相当)山分け! 土田 with ヒカキン軍団 VS ダチョウ倶楽部!勝つのはどっち!?ヒッパレ三番勝負!」を放送。ダチョウ倶楽部の3人や土田晃之さん、HIKAKINさんらが出演し、モンストの軸になっている「ヒッパレ」に関連する3つの企画でガチ対決を行う。視聴者には、勝利チームを予想して1000万個のモンストオーブを山分けする。
1月28日21時からは、2018年配信予定の「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバルALL STARS」をテーマとした「ラブライブ!AbemaTVスクスタ特番!~スクールアイドル大集合~」を放送。スクールアイドルグループ「μ’s」から新田恵海さん(高坂穂乃果役)、内田彩さん(南ことり役)、三森すずこさん(園田海未役)、「Aqours」から伊波杏樹さん(高海千歌役)、逢田梨香子さん(桜内梨子役)、斉藤朱夏さん(渡辺曜役)、「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」から相良茉優さん(中須かすみ役)、久保田未夢さん(朝香果林役)、楠木ともりさん(優木せつ菜役)といったキャスト陣が出演予定で、最新情報を独占公開するという。
このほか、1月26~28日に日本で初めて開催する格闘ゲームイベント「EVO Japan」も中継。それにあわせて女性のプロゲーマーにフォーカスした特別番組「シンデレラゲーマーズ」を1月22日19時から放送する。
こうしたレギュラー番組や特別番組、イベント中継といったものを織り交ぜて編成していくという。
ウルトラゲームス開設の経緯として山内氏は、まずゲームの多様化によって、ゲームというもの自体が多くの方に親しまれる存在になっていること。特にスマートフォン向けゲームの隆盛によって、ユーザーの規模感が格段に増している状態であり、それだけ潜在的に関心を持っている層も多く、それゆえに集客としても大きく見込めることを挙げた。また昨今のスマホゲームはIPを活用したタイトルが高い人気を集めており、AbemaTVではアニメチャンネルの人気も高いことから、利用者に親和性が高いことも付け加えた。
コンシューマゲームはさることながら、スマホゲームも年々クオリティが上がっている。そうなるとゲームの魅力を伝えるのには動画がより最適になるという。「実際、動画主体で見られるゲームメディアというものは、そんなにない。逆にそういった状態ならば、新しいゲームの動画メディアとして乗り出し、最初に触れてもらえるのがAbemaTVというぐらいに存在感を出すことができれば、より大きなコンテンツにできる」と、狙いを語る。
そして、これからeスポーツの流れがより加速し、盛り上がりが大きくなっていくことも開設の背景にあるという。山内氏によれば、多くの会社が投資を行っている状態にあり、2018~2019年に向けて数多くのタイトルがリリースされることを予想しているという。eスポーツは、リーグ戦など定期的に番組を組みやすいという利点も副次的にあるとし、番組制作にはRAGEのスタッフも参加するという。「特にeスポーツ関連は、運営についても、絵になる映像づくりとしても独特なノウハウが必要。RAGEで相当力を入れている部分でもあり、そのスタッフに加わってもらって、番組としてのクオリティを上げていきたい」という。
ちなみに準備段階の苦労点として「ほとんどがオリジナル番組で編成していること」を挙げた。ゲームをテーマにしたネット配信の番組自体は決して珍しくないものの、多くはそのゲームタイトルのプロモーションとして行う情報番組が多い。そのためアニメやドラマと違い、制作された番組を買い付けてそのまま放送するといったことが難しく、多くのオリジナル番組を準備する必要があったという。実際、当初は2017年10月開設予定だったが、このタイミングまでずれ込んだことも明かした。一方で、すでにAbemaTVが一定の認知を得ていることもあり、ゲーム会社などに話をすると、かなり前向きな反応で話が進めやすい状態にあるとも語った。
OPENREC.tvとの連動した企画なども検討中。例えばOPENREC.tvでオーディションや予選会を行い、AbemaTVの番組における出演権付与や決勝大会の中継といった施策は十分考えられるとした。「メディアとして、OPENREC.tvは企画番組の公式放送もあるが、基本的にはCGMで、配信者あってのプラットフォーム。AbemaTVは放送局で、性質も利用者(視聴者)もかなり違う。2つの特性を生かした施策が実現できると、双方にいい流れができると考えている」と説明する。
開局以降も反応を見ながら、さらなる新番組や特別番組を投入していくという。そして「企画勝負の世界であるため、斬新な番組を仕掛けていきたい」と語る。
「ゲームに対して熱量の高いユーザーももちろん大切だが、AbemaTVでは規模感も大事なので、ライトなゲームファンや周辺領域も含めてうまく取り込めるかどうか、そうした層まで広く訴求できる番組ができるかがポイント。基本的に編集型番組になるので、ゲームに詳しくないような人でも、楽しんで見ることができるような番組が多くなっていくと思う。視聴者の方がよりゲームに親しんでもらえるようにしつつ、AbemaTVの幅がさらに広がり、発展に寄与するチャンネルに育てていきたい」と抱負を語った。
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