3Dプリントの技術が向上し、簡単な樹脂部品を個人的に成形するような使い方にとどまらず、自動車や飛行機といった機械の部品を製造する用途も視野に入ってきた。ちなみに、製造業の分野では、積層型3Dプリンタによる製造技術を付加製造(Additive Manufacturing:AM)技術と呼ぶそうだ。
一般的なAMだと、成形物をテーブル上に置いたり、目的の形状にはない支持用の形状を作り込んだりする必要があって、成形可能な形状に制約が生じることや、成型後に加工を要することがある。また、成形用ヘッドが1つしかないといった要因で、製造に時間がかかってしまう。
こうしたAMの弱点を解消しようと、ボーイングは成形物を空中に浮遊させ、複数の成形用ヘッドで作っていく技術を考案。この技術を米国特許商標庁(USPTO)へ出願したところ、米国時間1月11日に「FREE-FORM SPATIAL 3-D PRINTING USING PART LEVITATION」(公開特許番号「US 2018/0009158 A1」)として公開された。出願日は2017年9月1日。
この特許は、空中浮遊3DプリンタといったようなAM技術の実現に必要な構成を説明したもの。成形する物を3Dプリンタのプラットフォーム上に置かず、空中に浮かべた状態を維持させ、複数の成形用ヘッドで目的の形状を作っていく。成形物の向きは随時変更させることが可能なので、成形物の置き方による制約から解放される。さらに、成形用ヘッドを複数同時に使えば、製造に必要な時間が短縮される。
成形物を浮かべる具体的な方法については、請求項(クレーム)で音波を利用するとしている。それ以外の方法は、20件あるいずれのクレームでも言及されていない。ただし、発明の概要(サマリ)などでは、磁力を使う方法に触れていた。
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