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“激動”だった2017年の仮想通貨--大手取引所のコインチェック和田社長が振り返る - (page 2)

山川晶之 (編集部)2017年12月30日 12時50分
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――9月には国税庁が仮想通貨を雑所得に区分すると公表しました。4月の法改正含め、政府の仮想通貨に対するスタンスはどういったものしょうか。

 政府は、仮想通貨についてはとてもポジティブに見ていました。特に、1~3月はユーザー数も少なく社会的影響も低かったので、とりあえず産業として伸ばしていこうというスタンスだったのですが、4~5月に価格が伸びて影響力が出始めたころ、金融庁や消費者センターに詐欺コインによる被害の事例などが挙がってくるようになると、少し加熱しすぎではないかというスタンスに変わりました。


 といっても、基本的にはポジティブに伸ばしたいと考えていただいており、そのために必要な法整備を進めてもらっています。影響度が大きくなりすぎたので、自主規制などを業界団体でしっかり定め、事故が起きないように取り組みましょうという雰囲気です。仮想通貨は金商業者と比較して法律的にゆるさがありますが、影響度は変わらなくなってきてますので、ルールが必要だよねという状況です。

 国税庁は、基本的には利益が出ていれば納税してもらうというスタンスです。一方で、仮想通貨の譲渡時に発生していた消費税を撤廃しており、企業や個人での取引に関する問題点が整備され、動きやすくなりました。

――FX取引は特別税制が設けられています。

 歴史的な背景として、FX取引は国として投資を推進したい思惑もあり、低い税率を設けていますが、もともとは雑所得扱いでした。業界団体が働きかけたことで一律20%になったのです。

 仮想通貨に特別税制が設けられる可能性はあると思います。税金を少なくして取引を活発化し、その結果、取引の総量が多くなるのであれば、仮に税率を20%に下げたとして最終的な税収が多くなる見立てもあるでしょう。産業を育てる意味も含め、特別な税制が設けられる可能性が高いと個人的には感じています。なお、仮想通貨の業界団体ではすでに税制面での働きかけを進めています。

――確定申告のシーズンが近づいていますが、ユーザーがスムーズに申告できるよう何らかの対策は検討されていますか。

 確定申告シーズンの1~2月には対策を発表する予定です。ただし、取引そのものの計算が大変なんです。私たちの取引所内の行動なら把握できますが、海外の取引所を利用していた場合は取引履歴を把握するのが難しくなるので、正しい損益が出せません。

 また、きちんと確定申告できるように業界として体制を整えておかないと、先ほどの特別税制が設けられなくなってしまいます。これは、現在取引している人がきちんと申告するのが前提であり、正しく納税されていないと、国税庁側で今後の試算もできなくなります。税金を下げたいのであれば、申告できる仕組みや体制が必要になります。

――11月から12月にかけてまさしくバブルと呼ぶべき値上がりを記録しましたが、仮想通貨というのは通貨・投機商品のどちらで見ているのでしょうか。

 これは時間軸の問題だと思っています。初めは、取引所や市場がまだ整っておらず、既存の金融市場と比べ、少しの売買で値動きが激しくなるのは仕方のないことだと思っています。今後、シカゴの先物取引への上場といった話のように、機関投資家が参入してくると、これまでと違ったお金の流れが生まれて流動性が高くなることで、小さい売買でも価格に影響が出なくなる段階に移ると思います。市場で流通するお金が増えるほど、ボラリティは少なくなるでしょう。

――仮想通貨によって資金調達する「ICO」も大きく盛り上がったトピックですが、どのように見ていますか。

 コインチェックでは、事業としてICOに関わっているわけではないので、ニュートラルに見ています。国内外でICOが頻繁に実施されるようになり、我々のユーザーもビットコインやイーサリアムを購入する理由が、ICOへの投資だったりするケースも多いです。ただし、悩ましいところで法律的な兼ね合いもありますし、詐欺案件も出てきています。トークンを購入したところ流動性がなく、しばらく売れないという声もありますので、何が正しいとするかは難しい話です。とはいっても、資金調達の手法としては画期的です。これまで、国を超えて資金調達するのは難しかったのですが、仮想通貨を使えば一瞬です。


仮想通貨交換業者の登録が遅れている理由は

――金融庁による仮想通貨交換業者の登録が始まりましたが、コインチェックは継続審査となっています。登録状況を教えてください。

 継続審査となっているのは、扱っている通貨の多さが背景としてあります。ビットコインやリップル以外にも、さまざまな通貨を扱っていますが、それぞれを金融庁としてはしっかり確認したいところだと思います。金融庁では、登録した仮想通貨取引所が取り扱っている通貨をリスト化していますが、ここに掲載されるとなると、ユーザーからは暗に金融庁が承認した仮想通貨として見えてしまう可能性があります。国内だけなら良いですが、海外から「日本が怪しいコインを推奨している」という見られ方をしてしまった場合、国際的な立場が揺らいでしまいます。


コインチェックで取り扱うコインの種類

――そうなると、今取り扱っているコインを減らす可能性もあるのでしょうか。

 万が一の可能性はありますが、基本的には減らさない方向です。

――その一方で、長い間コインが追加されていませんが、今後追加の予定はあるのでしょうか。

 コインの取り扱いは、さらに増やす方向で検討しています。最近までは、急激なユーザー数の増加や法律対応などで、社内体制の整備に追われてしまい、ビットコインキャッシュ以降のコインを増やせていませんでした。コインは近いうちに追加していきたいと思います。

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