農業を“儲かる”ビジネスに--都市と農業をつなぐアグリメディア - (page 2)

農業分野の「多角化」でシナジーを創出

 前述したように、同社はシェア畑をはじめ農業分野において幅広く事業を展開している。たとえば、農業特化型の求人サイト「あぐりナビ」、収穫体験付きのバーベキュー場「ベジQ」などだ。また、2018年には農業学校事業「アグリアカデミア」を本開校するほか、ベトナムで海外事業も開始する予定だという。

 もちろん、ただ多角化しているわけではなく、それぞれの事業のシナジーを生かすことで、スピード感をもって新事業に挑戦できると諸藤氏は話す。「農業プラットフォームになるため、ニーズがある事業にはなるべく早く参入している。そのため、中には撤退した事業もある」(諸藤氏)。


収穫体験付きのバーベキュー場「ベジQ」

 各自治体との連携も進めている。同社への問い合わせは年々増えているそうで、その中でも意思決定のスピードが早く、かつ地域の課題解決に対して熱意のある自治体を選定して協力しているという。「農業を通じて人を呼びたいというニーズがほとんど。地域に良いものがあっても、見せ方の問題で呼べていないことがある。2018年から道の駅の再生などもしながら、集客を支援していきたい」(諸藤氏)。

 同社では道の駅や野菜の直売所のPOSデータを蓄積している。それらのデータを生かして、物流を持たずに野菜の作り手とほしい人を適切にマッチングする、新たな流通モデルを検討中だという。「個人から個人への直送モデルでは物流コストを賄えない。そこで、道の駅などをターミナルにすることがポイント」と諸藤氏は話す。

 農業に焦点を当て、次々と新事業を立ち上げてきたアグリメディアだが、「まだまだ規模が小さく、農業全体にインパクトを出せていない状況。ようやくやれることが少しずつ見えてきた」(諸藤氏)と現状を評価する。今後は、これまで以上に流通やテクノロジを活用したサービスに注力したいと話し、事業開発やエンジニアなどの人材を積極的に採用することで、ビジョンを実現するための体制を早期に構築したいと展望を語った。

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