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農業を“儲かる”ビジネスに--都市と農業をつなぐアグリメディア

藤井涼 (編集部)2017年12月11日 11時00分
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 「農業を儲かるビジネスにする」という理念を持ち、農業を活性化・効率化するプラットフォームを運営しているのが、2011年4月に創業したアグリメディアだ。わずか6年で、農園から飲食店、求人、BBQ施設、さらには学校まで、農業分野の幅広い事業を展開。また、従業員数も300名(社員65名、アルバイト240名)を超えるまでに成長しているという。


アグリメディア代表取締役の諸藤貴志氏

 「農業の問題の根幹は、収益持続性がなく儲からないこと。戦後から続いているやり方が時代に合わなくなってきており、新たなビジネスモデルや流通が必要になっている。インターネットを活用したり、都市部を始めとする人々と農業をつなぐことでこの課題を解決したい」――。同社の代表取締役である諸藤貴志氏は、離農者が止まらない日本の現状を変えたいと語る。

 実は諸藤氏は住友不動産出身で、もともと農業と関わりがあったわけではない。起業家の兄・諸藤周平氏(介護事業を展開するエス・エム・エス創業者で元代表取締役社長)の影響もあり、30歳で起業を決意した際に、世の中にある課題を洗い出す中で、高齢化により生産者が減り、衰退しつつある日本の農業を再興したいと考え、同社を立ち上げたのだという。

 しかし、農業の知見やネットワークのない同社が、正面から農業市場に参入するのは難しい。そこで市場調査をしたところ、当時は都市部の人々や企業と農業をつなぐプラットフォームが存在しなかったこと、また農業の体験自体に付加価値をつける事業者が少なかったことから、「都市」と「体験」の2つに重点を置き、農業事業を開始したと振り返る。


「シェア畑」

 同社の主力事業が市民農園「シェア畑」だ。維持・管理できなくなった都市部の農地や、使われていない遊休地を活用した畑レンタルサービスで、種や肥料、スコップや鍬などの農具、防虫ネットなどの資材はすべてアグリメディアが用意するため、“手ぶら”で野菜を作れることが特徴。また、経験豊富な菜園アドバイザーが週に4~6日勤務し、わからないことがあればすぐに教えてもらえるという。最低でも週に1度通えば、野菜を作れるとのこと。また、忙しい人向けに栽培代行サービスも有料で提供しているという。

 シェア畑では、トマトやきゅうり、枝豆、スイカ、オクラなど、年間で約15~20種類の無農薬野菜を取り扱っている。料金は農園によって異なり、一例として3平方メートルで月額4908円から、6平方メートルで月額7963円から、8平方メートルで月額8334円から。この金額には、苗や農具、アドバイザーによるサポート料も含まれているという。

 「(事業を始めて)潜在層が多く、ニーズもあることがわかった。従来は自治体が農地を貸し出していたが、それだけでは借り主が苗や農具を用意する必要があり、野菜の作り方もわからない。そこで、シェア畑では優秀なアクティブシニアを中心に自社で約200名ほど雇用してユーザーをサポートし、育て方の講習会も毎月開催している」(諸藤氏)。


関東だけでもかなりの数のシェア畑がある

 シェア畑によって、これまでに首都圏・関西合わせて65以上の農園が生まれ、1万5000人以上のユーザーに利用されているという。当初は折り込みチラシなどでプロモーションをしていたため、リアル経由の集客が7割を占めていたそうだが、現在はウェブとリアルで5割ずつになっているとのこと。また、当初は都市部が中心だったが、現在は全国にユーザーが広がりつつあるという。今後は、野菜を育ててみたいけれど一歩が踏み出せない、潜在顧客を獲得していきたい考えだ。

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