画像の登録だけでAIが不正利用を検知--「NAVERまとめ」が著作権管理システムを導入

 ネクストライブラリは11月29日、同社が提供する「NAVERまとめ」において、新たに著作権管理システム「Lisah(リサ)」および、「オーサーランク」のテスト導入を開始したと発表した。


 NAVERまとめは、ロボット型検索エンジンが提供する画一的な検索結果だけでなく、それぞれのユーザーが持つ価値観や観点による多様な“まとめ”の創出を目指すユーザー参加型検索サービスとして、2009年7月に提供を開始。同社では、権利侵害などの問題があるまとめに対して、プロバイダ責任制限法の各種ガイドラインに則して対応すると共に、365日体制の全件モニタリングを実施しているという。

 特に著作権侵害に関しては、著作権者の負担を軽減するべく、2016年12月より「みなし非表示対応」の導入や情報開示請求についての改善など、法令・ガイドラインからさらに一歩踏み込んだ独自の対応も開始していたものの、著作権者が自ら不正利用されている著作物を探しだし、削除要請に必要な証明、請求書面の作成などの必要があることや、権利侵害があるたびに作業をくり返さなくてはならないという課題は残されたままだった。

 これらの課題へ対応するため、著作物の画像を登録するだけで不正利用されている著作物を自動的に探索し、削除要請に必要だった証明、請求書面の作成などを必要とせず、その場で非表示化やキャプション・出典の書き換えができる著作権管理システム「Lisah」を開発した。11月29日よりテスト運用を開始し、本格運用に向けた準備をさらに加速させるとしている。

 Lisahは、著作物の画像を登録するだけで、AIが自動監視を開始し、NAVERまとめ上での著作物の不正利用を瞬時に検知する。対象メディアと直接連携することで、全ての投稿画像をくまなく比較チェックでき、リサイズや切り抜きによって偽装されたものも含む不正利用画像の検知率は、96%を実現しているという。

 登録コンテンツと一致する可能性がある画像が検知された場合には、詳細情報を自動的にリストアップし、著作者に通知する。また、検知できなかった事例を集めて個別のアルゴリズムなどを追加することで、検知率の向上を継続的に実施できるという。

 不正利用を発見した場合には、ワンクリックで即時に掲載を停止することが可能。停止にあたっての書類提出などが不要なため、被害の拡大を最小限に抑えられるという。また、未承認の利用を事後的に許諾することも可能。許諾にあたっては、クレジット表記やリンクの設定などの条件を詳細に設定できるほか、将来的には収益の分配にも対応する予定だ。


登録した画像に似た写真を含む記事が投稿されると、AIが検知する

 Lisahとともに導入されるオーサーランクは、閲覧者がまとめ記事の信頼性を測る判断材料となるよう、まとめ作成者の経歴などを公開する仕組み。本人確認(Lisahと連携)を実施したまとめ作成者にはその旨を表示し、まとめの表示順などの参考指標にする。また、経歴情報などのプロフィール項目をLisahとの連携により大幅に増強することで、作成者の人物像、バックグラウンドなどをより深く確認できる。

 さらに、作成したまとめに関して、どういった経緯で作成したものかを記載するコメント欄を追加。記載は必須となっており、例えば「おすすめラーメン店」を選んだまとめにおいて、そのエリアに住んでいるラーメン好きなのか、ラーメン評論家なのか、ネットを見てまとめた人なのか、またどうしてこのまとめを作ろうと思ったのかの背景などを記載することが可能となる。

 Lisahとオーサーランクは、2016年12月5日にNAVERまとめの新方針として発表した「1次コンテンツ作成者の保護」と「オーサーランク」についての取り組みの最初のステップとなる。今後は、NAVERまとめだけでなく、より多くのインターネットメディアとの連携を推進。インターネット上での著作物保護のみにとどまらず、適切なコンテンツ流通を支援するライセンスプラットフォームのスタンダードを目指すという。

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