NTTデータとシャープ、NTTデータSBCは11月8日、AI技術(ディープラーニング)を活用したモバイル型ロボット電話「ロボホン」向け手話通訳アプリケーションを共同開発したと発表した。
「右手を挙げたら手話を始めて。左手を挙げたら手話をやめてね。はいっ!」──ロボホンは軽やかにしゃべり出す。右手を挙げた合図のあと、聴覚障がい者がロボホンに向かって手話をすると、ロボホンがAI技術(ディープラーニング)で手話の動きを認識して分析。手話の意味する単語を日本語で発話する。さらに発話した内容を、スマートフォンなどの外部デバイスに表示できる。
ロボホンが健聴者の発話を認識し、その内容をテキスト化してスマートフォンなどに表示することも可能だ。
まだプロトタイプの段階で、リリース時期や配布方法などは協議中という。
聴覚障がい者は、世界で約3億6千万人、日本国内では軽度な方々を含めると数百万人おり、国内で手話が必要な人は約32万人いるとされる。
NTTデータ AI&IoTビジネス部 部長の谷中一勝氏は、「そうした障がいを持つ人の近くに手話通訳者がいないという不便が生じている。不便を解消するとともに、健聴者も手話に興味を持ってくれることを期待している。ロボホンというキャラクターを通じて、聴覚障害者と健聴者がつながっていくきっかけにできるのではないか。ビジネスというようりも、コミュニケーションを支援する社会貢献を目的としたもの」と説明した。
このアプリは、イノベーティブな組織文化の啓発を目的としたNTTデータ社内のロボホン向けアプリ開発コンテストを契機に誕生した。コンテストには、約50アプリの応募があり、最優秀賞を獲得したこの手話通訳アプリケーション以外にも、水面下で進めているものがあるという。
開発を担当したNTTデータ AI&IoTビジネス部の大塚優氏は、ロボホンについて「インターフェースとして可愛らしさがあり、コミュニケーションツールとして優れている」と説明する。
現時点では、数十単語の認識ができる程度で、手話初学者の手話練習や「こんにちは」「楽しい」といった単語の意思伝達交換にとどまる。「限られた学習しかしていないため、人が多くいるシーンでの認識の精度など状況が異なる場合にまだ課題がある。AIをブラッシュアップし、限りなく間違いを少なくしたい。反応速度はデータ通信がボトルネックだが、効率化できる」(大塚氏)
東京2020オリンピック・パラリンピックを見据え、今後はさらに学習させることで手話の認識を広げていく。個人あるいは企業向けに、簡単な会話レベルでの意思伝達や、行政や企業の窓口での利用を目指す。
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