マーケットプレイスレンディングに対して、バランスシートレンディングはその名の通り、自社のBS(自社の資金)を利用して融資を行うサービスである。この場合、融資のデフォルトリスクも自社で負っている。
マーケットプレイスレンディングの方式では資金を集めにくい事業者の短期の資金繰り資金や、事業者がいつでも自由に使えるクレジットライン(資金枠)、個人ではペイデイローンなどの仕組みで利用されることが多いほか、Eコマースなど巨大なプラットフォームが付加サービスとして提供している場合もある。
バランスシートレンディングの分野で多いのは、ユーザーのデータを分析し、タームローン(期間を定めてた融資)やクレジットライン(資金枠)を提供する「ダイレクトレンディング」の形のサービスである。米国の「Kabbage」や「OnDeck」など、多くの独立系のレンディングサービスはここに該当する。
これらのサービスの特徴は、ビッグデータを活用したレンディングの要素が強く、ユーザーが利用する銀行や会計、決算などのオンラインサービスのデータを取得して瞬時に借り入れ額を算出するモデルを構築していることである。これにより、ユーザー側は自己の調達可能額を瞬時で知ることができる。
また、資金需要者の商流(資金の流れ)を抑え、その商流にある資産を背景に融資を行う 「トランザクションレンディング」もこの分野の一つ。代表的なものとしては、アマゾンが出店者向けに提供している「アマゾンレンディング」、米Squareが利用者向けに提供している「Square Lending」がある。これらのサービスの特徴は、直に売り上げの詳細を把握しているプレーヤーがその情報を元に融資するという情報取得の容易さがあるほか、実際に返済が滞った場合には商流にある資金を返済に充当できるという保全の高さがあげられる。
個人向けの領域では、個人の決済データをもとに独自のクレジットスコアを構築し、融資を行うサービスも存在する。最近特に話題に上ることが多いが、中国のAlibabaの子会社が運営する「芝麻信用」などもこの種類のサービスである。特に中国では急速広がってきており、あらゆるサービスを利用するのに、一定以上の芝麻信用におけるクレジットスコアを求められるという段階まで来ている。
主流の2種類以外にも、実際に自己でリスクをとることなく、ユーザーに対して金融機関の紹介に特化したサービスや、金融機関を顧客としてデータ分析によるモデルの構築を専門としてサービス提供するスタートアップも存在する。
ここまで見てきた通りでレンディングと言う分野においてもリスクの取り方や、資金の出所などによって様々なタイプのプレーヤーが存在している。日本におけるレンディングの分野の発展はまだまだこれからであるが、新しいサービスが出てきた際に、上記のどの分野に当てはまるのか、という視点でみていただけると、そのサービスの理解がしやすくなるだろう。
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