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盛り上がる「レンディング」の今

盛り上がりを見せる「レンディング」--海外で普及が進むFinTechサービスの今

内山誓一郎(クレジットエンジン)2017年11月10日 08時00分
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 スタートアップ、そして金融業界において「フィンテック」という単語が一般化してきて久しい。銀行をはじめとする金融業界のプレーヤーだけでなく、これまで金融とは関連しない分野にいたプレーヤーもフィンテック事業に注目し新たな取り組みを始めている。

 日本では、2015年頃からフィンテックというワードが注目され始め、家計簿アプリやクラウド会計ソフトが話題の中心となっていたが、その後、決済や資産運用の分野に多くの注目が集まっている。一方、グローバルでは、近年、フィンテックにおいて、「レンディング(融資)」領域の注目度が上がってきており、「LendIt USA」のようにレンディング領域に特化(最近ではFintech全般に拡大)したカンファレンスは、数千社が参加するような規模で開催されている。

 しかし、フィンテックの中でもレンディングの領域について日本で話題に上ることは少なく、また、プレーヤーも少ない。これは、日本において、レンディングは銀行の領域といった固定観念や、貸金業という業種へのネガティブな感情なども背景にあると考えられる。

 しかしながら、グローバルでの発展にみられるように、レンディング領域はフィンテックを構成する非常に大きなパーツであり、これからの日本のフィンテック業界においても重要な役割を担っていくことが予想される。この連載では、レンディングについての概要を解説し、読者の方がレンディングの基本的な理解を深めていただくことを目的としている。

借り手と貸し手をマッチングさせる「マーケットプレイスレンディング」

 それでは、レンディングの領域におけるビジネスタイプの代表例である「マーケットプレイスレンディング」と「バランンスシートレンディング」を紹介する。

 マーケットプレイスレンディングとは、オンライン上のプラットフォームにおいて、資金需要者(借り手)と投資家(貸し手)をマッチングさせるサービスである。中でも、個人の借り手と個人の投資家とを結びつける仕組みを「P2Pレンディング」と呼ぶことが多かったが、昨今では機関投資家などのプロの投資家が市場に参加することも多くなったため、マーケットプレイスレンディングという単語が一般化している。

 マーケットプレイスレンディングのプラットフォームは、融資のマッチングをサービスの主眼としており、自社において融資のデフォルトリスク(融資が返済されないリスク)を取ることは基本的にしない。

 米国ではマーケットプレイスレンディングとして、「LendingClub」や「Prosper」といったサービスが有名である。P2Pレンディングと言われるサービスでも、借り手となる個人や事業主を特定できるサービスもあるが、プラットフォーム側が独自に分析する信用評価モデルに基づき、投資家が自身のリクス許容度に合わせて融資先のクレジットランクを選択する形も多く存在する。


マーケットプレイスレンディングタイプの「LendingClub」

 日本におけるマーケットプレイスレンディングは 、「ソーシャルレンディング」という独自の形で多くのサービスが提供されている。日本においては、資金需要者側が自社でオンライン登録し、資金を募ることができるサービスは少なく、プラットフォーム側が自社でソーシングした不動産投資や海外債権投資の案件について、案件ごとに資金を募るという形を取っている。

 さらに、海外に存在するような借り手となる個人を特定できる形のP2Pレンディングは、日本での展開は規制上難しい。貸金業法上の規定により、投資家側が資金需要者側を特定して融資することについては、貸金業に当たるという解釈が成り立っているため、対象の資金需要者を特定しない形の融資を実施する必要があるためである。

 また、マーケットプレイスレンディングの日本における変形版としては、クラウド会計サービスのfreeeやMFクラウド(マネーフォワード)が、会計ソフトのユーザーである事業主と、金融機関を結びつけるプラットフォームを自ら構築している。この場合、主にプラットフォーム側が信用評価しているのではなく、金融機関側が自社のスコアリングモデルに当てはめて融資の可否を判断している。

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