NTTドコモは11月2日、5G通信時代に活躍が期待される、周波数の利用効率を向上させる技術「非直交多元接続方式」(NOMA)と、NOMAの実現に必要な技術「マルチユーザー干渉キャンセル」(MUIC)を実装したチップセットをMediaTekと開発し、同チップセットを搭載した現行スマートフォンサイズの端末による実証実験を行ったと発表した。その結果、従来技術と比較して最大2.3倍となる周波数利用効率の向上を確認したという。
この実証実験は、5Gの新しい無線アクセス技術として、ドコモが標準化を提案したNOMAによる周波数利用効率化の検証と、MediaTekが開発した同チップセットが現行スマートフォンサイズの端末で動作することを検証した。実験期間は、2017年8月14日〜10月6日。台湾新竹県の台湾工業技術研究院および、MediaTek本社で行われた。
具体的には、4個のアンテナを搭載した3.5GHz帯対応基地局によるスモールセル環境で、基地局から異なる距離に配置した2個のアンテナを搭載した3台の端末と同時通信を実施した。これにより、同一送受信アンテナ構成のシングルユーザーMIMOに比べ、周波数効率が向上していること。また、現行スマートフォンと同等サイズで、世界初NOMA対応チップセットを搭載し動作することを検証した。
受信側となる端末では、同チップセットにより、干渉となる自端末以外の信号を取り除くことができ、自端末に必要な信号のみを取り出すことが可能となった。これにより、1つの周波数における利用効率が、従来技術である同一送受信アンテナ構成のシングルユーザーMIMOに比べ、最大2.3倍に向上することが確認できたという。
ドコモは、2020年に5G商用サービスの開始を目指しており、5Gの新しい無線インタフェースや周波数利用の効率化技術を活用し、ユーザーが密集する都市部環境においても、さらなる大容量化を実現する技術を開発。標準化の提案をする予定。さらに、今後も世界主要ベンダーと協力し、2020年のサービス提供に必要な端末開発や商用環境の整備に取り組むとしている。
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