KDDIは11月1日、2018年3月期第2四半期の決算を発表した。売上高は前年同期比5%増の2兆4160億円、営業利益は同1.9%増の5425億円と、前期に続いて増収増益を記録し、好調を維持する形となった。
好調な要因の1つは、モバイル通信料収入の増加だ。au契約数に加え、傘下企業のMVNOを含めたグループ全体でのモバイルID数が1.5%増の2608万に伸びており、モバイル通信料収入も1.1%の増収を記録しているという。最も収益性が高いauの契約数は今なお減少傾向にあるが、MVNOが伸びていることに加え、au自体の通信ARPAが前年同期比2.2%増の5970円と、順調に伸びていることで補っているようだ。
もう1つ、KDDIにとってプラス要因となっているのが、auの新料金プラン「auピタットプラン」「auフラットプラン」だ。9月より、新たにiPhoneがこれらプランの対象となったことから、「iPhone 8」と「iPhone 8 Plus」を割賦で購入した人のうち、95%が新料金プラン向けに設けられた端末購入プログラム「アップグレードプログラムEX」「アップグレードプログラムEX(a)」に加入したという。
そのため、新料金プランの累計申込数も10月14日には200万契約を突破。さらに10月末には250万契約を突破しており、そのうちauフラットプランの契約数比率が38%まで上がっているとのこと。KDDI代表取締役社長の田中孝司氏は、その要因について「iPhoneを使う人は、データ通信をたくさん使う傾向にあるため」と話しており、新料金プランへのiPhoneユーザー流入が、ARPAの向上に寄与するなど好影響を与えている様子がうかがえる。
新料金プランの人気に加え、「au STAR」などで長期契約者向けの優遇施策を強化してきた影響もあってか、auの解約率は減少傾向にあるとのこと。実際、auのスマートフォン・フィーチャーフォンのみに絞った「au解約率」は、第1四半期の0.91%から0.79%へと、大きく下がっている。田中氏も「徐々に改善トレンドに入っている」と、解約率の改善に自信を見せる。
とはいえ、auの契約数自体は現在も減少を続けており、MVNOへの流出が完全に止まったわけではない。しかしながら田中氏は、「昨年に比べると減少率は結構下がってきているし、番号ポータビリティによる流出もグループ全体で見ればほぼ止まっている。アンダーコントロールな状況になりつつあるんじゃないかと思っている」と話しており、MVNOへの大量流出が続いていた昨年と比べると、大幅に改善しているとの見解を示した。
そしてもう1つの好調要因は、ライフデザイン事業の拡大だ。au経済圏の流通総額は、前年同期比で1.5倍の8490億円となったほか、付加価値ARPUも14%増の570円に拡大するなど、好調な様子がうかがえる。
その成長を支えているのが「auスマートパス」と「au WALLET」の伸びだと田中氏は話す。auスマートパスの会員数は1534万に達しており、そのうち「auスマートパスプレミアム」の会員数は、9月17日時点で200万を突破したとのこと。au WALLETも、プリペイドカードとクレジットカードを合わせた有効発行枚数が2180万枚に達するなど順調に伸びているという。
また、KDDIが現在力を入れているEコマースサービス「Wowma!」についても、アプリのリニューアルやセールなどの利用促進策によって、購入者数が前年同期比で2.4倍、流通額も2.7倍へと急拡大しているという。
田中氏はさらに、8月に買収したソラコムについても言及。サービス開始から2年間で、国内外で8000もの顧客を獲得するなど順調に基盤を拡大しているそうで、「こうしたテクノロジファーストの会社から学んでビジネスを拡大していきたい」(同氏)と、ソラコムとの協業によるIoTビジネス基盤の創出に向けても、じっくり取り組んでいく考えを示した。
今回の決算発表は「iPhone X」の発売直前だったこともあり、田中氏はiPhone Xの動向についても言及した。10月27日より開始されている予約の状況については、「予約開始から3日間の比較で、iPhone 8/8 Plusの1.5倍くらい」とのことだが、双方を合わせた予約数は、2016年のiPhone 7/7 Plusの予約数とほぼ同じとのこと。その要因について、「昨年よりも各機種への分散化が進んでいるのではないか」との見方を示した。
またiPhone Xの入荷状況については、「一部で報道されているほど待たせることはないのではないかと、現時点では思っている。遅くても2017年内には正常化すると見ている」とコメント。具体的な数の言及は避けたものの、予想されているより早く、需給が改善すると予想した。
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