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デジタル式のスマート天体望遠鏡「eVscope」--星の配置から方角を自動認識

 冬の日本は、雪の多い地方を除けば晴れる日が多く、空気が乾燥して空が澄み渡るため、美しい星空が楽しめる。夏と違って星の瞬きが激しくシーイングは悪化するが、透明度の高いキリッとした夜空は美しい。

 そこで、この冬には間に合わないが、1年後には入手できるかもしれないデジタル式の天体望遠鏡「eVscope」を紹介しよう。現在クラウドファンディングサービス「Kickstarter」で支援募集中。


デジタル式の天体望遠鏡(出典:eVscope公式サイト)

 eVscopeは、口径4.5インチ(約11.4cm)、焦点距離450mmの反射望遠鏡。光学式の反射望遠鏡は、主鏡で結像させた星の姿を接眼レンズで拡大して見るのだが、eVscopeは主鏡の結像位置に設けたセンサで光をとらえ、画像処理して有機LED(OLED)ディスプレイで観察する。


光をセンサでとらえる(出典:Kickstarter)

 センサでとらえた光の情報は、短時間であるが加算して強調される。そのため、通常の望遠鏡だと暗くて見えないような天体でも、eVscopeなら見えるそうだ。eVscopeの開発チームは、昔ながらの望遠鏡に比べ100倍強力、としている。ちなみに、得られる画像のコントラスト比は100万対1あるという。

 鏡筒を保持する架台は、天体の自動追尾がしやすい代わりに慣れないと扱いにくい赤道儀でなく、直感的に見る方向を決めやすい経緯台を採用。スマートフォンやパソコンと無線LAN(Wi-Fi)またはBluetoothで通信し、専用アプリから操作することで、目的の天体を視野に入れられる。見ている方向は、視野内にとらえている星の配置から自動的に認識される。写真やビデオの撮影も可能。


スマートフォンやPCと連携してさまざまな機能を提供(出典:Kickstarter)

 さらに、eVscopeは「キャンペーンモード」という興味深い機能も備えている。このモードは、科学的な手法で地球外生命の発見を目指す非営利組織SETI Instituteと連携し、さまざまな天体観測で協力するためのもの。例えば、小惑星の地球への接近、超新星や彗星(すいせい)の出現など、研究機関による組織的な観測が難しい、比較的短時間の現象を、eVscopeユーザーが観測してデータを提供するのだ。協力要請はインターネット経由で伝えられ、観測すべき方向へeVscopeを自動的に向けられる。

天体観測に世界各地のeVscopeユーザーが協力(出典:Kickstarter)
天体観測に世界各地のeVscopeユーザーが協力(出典:Kickstarter)

 Kickstarterでの支援受付期間は日本時間11月24日まで。記事執筆時点(日本時間10月26日15時30分)でキャンペーン期間は28日残っているが、すでに目標金額15万ドルの3.5倍を上回る約54万ドルの資金を集めている。

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