日本で認められれば世界でも通用する--「eBay」がオープン戦略を進める狙い - (page 2)

テクノロジをシンプルなユーザー体験にアウトプットする

――コンシューマにおけるコマースのユーザー体験について伺います。この20年での技術革新を経て、最近ではデータマイニングやAI・機械学習などによる顧客体験のパーソナライズやモバイルファーストのサービス設計が大きなトレンドになっていますが、このトレンドに合わせたeBayの進化について教えてください。

 AIはeBayのテクノロジのさまざまな部分に導入されており、今後も大きな可能性があると考えています。たとえば、eBayではユーザーのニーズに合わせた緻密なキュレーションが行われているため、ユーザーごとに顧客体験は全く異なります。また、画像認識の分野に積極的に投資をして、ユーザーが撮影した写真から類似する商品を検索できるようにするなど、ユーザー体験を拡充しています。こうした技術はAIが支えており、ユーザー体験をシンプルにしてシームレスかつインタラクティブにするもので、今後のトレンドになっていくと考えています。

――最近のeBayをめぐる動きでは、PayPalとの資本提携の解消(2015年)が大きなニュースになりました。PayPalとのパートナーシップがフラットになったことで、プロダクト開発においてポジティブな効果はあったでしょうか。

 私たちはこれまでユーザーにシームレスな決済手段を提供したいという考えからPayPalに積極的に投資をしており、資本関係が解消した現在も重要なビジネスパートナーのひとつであることは間違いありません。ただ、決済分野に関してはApple PayやBitcoinなどさまざまな決済方法が登場してきています。シームレスなユーザー体験を提供するために、私たちからさまざまなイノベーションを起こしていかなければならないと感じています。PayPalだけでなく、新たな決済方法に対するニーズが販売者、購入者の双方から高まってくれば、そうした機会を積極的にサービス拡充につなげていきたいと考えています。

――AIとコマースを巡っては、レコメンデーションの最適化だけでなく接客そのものをAIが行ったり、チャットボットがユーザーサポートをしたりするなど、さまざまな活用シーンでの研究開発が進んでいます。また、VRやARをビジネスでどう活用するのかも重要なテーマです。こうした技術革新を今後のプロダクトにどう取り込んでいくのか教えてください。

 私たちはユーザーがどういった商品に関心を持ち、どのような商品を購入しているのかという点に注目し、得られたデータを分析して販売者のマーケティングやユーザー体験にフィードバックするという取り組みを引き続き拡充していきますが、その中でAIは重要な役割を果たすと考えています。イノベーションの方向性で重視するのは“よりシンプルに”という点。ユーザーの閲覧履歴や商品購入履歴といったデータだけでなく、世の中でどのような商品が話題になっているかといったトレンドなどの外部データもeBayのプラットフォームに取り込みながら、販売者・購入者双方がシンプルに最適化されたユーザー体験ができるようにサービスを拡充していきたいです。

 今後、グローバルにおけるコマースの市場は数兆円規模まで成長すると予測されており、そのうちの8.3%はオンラインビジネスによるものだと言われています。この予測からもビジネスはさらなる成長のチャンスがあり、その中で的確なソリューションや高いクオリティの顧客体験を提供していくことが重要だと考えています。


イーベイ・ジャパンのインテグレーションマネジメント部長である山口秀夫氏とルチカ・ジャラーニ氏

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