スマート家電といったら何を思い浮かべるだろうか? 生活家電では、スマートフォンから操作、管理するだけではなく、節電や自動クリーニング面でもスマート化が進んでいる。2016年に発表されたSAMSUNGやLGのスマート冷蔵庫はタッチパネルやOSを搭載し、ホームアシスタントのようにスマートホームの“ハブ”として各機器と連携する機能に注目が集まった。大型生活家電におけるスマート家電のプレゼンスは高まっているが、実際にそうした機器はどれくらい販売されているのだろうか。
GfKのグローバル調査(北米を除く)によると、スマート大型生活家電(洗濯機、乾燥機、食洗機、冷蔵庫、冷凍庫、オーブン、電子レンジ、ビルトイン・コンロ、レンジフード。エアコンは含まない)の販売台数は、2016年度(2016年4月~2017年3月)には1300万台を超え、前年比では2倍以上に拡大した。
大型生活家電の製品カテゴリ別にみると、スマート家電化が最も進んでいるのはドラム式洗濯機で、年間販売台数の15%をスマート家電タイプのものが占めた。
スマートドラム式洗濯機の販売状況を、ドイツ、イギリス、イタリア、韓国、中国、フランス、スペイン、日本の8カ国で比べると、市場規模が最も大きいのは中国であった。中国のスマートドラム式洗濯機の販売金額は前年の2倍超であり、成長も著しい。スマートフォンが生活に急速に根付いている中国は、スマートホームへの関心が最も高い市場の1つであり、メーカーや販売店にとってはビジネスを展開しやすい環境にある。また、スマートドラム式洗濯機の平均価格は462ユーロと通常のドラム式洗濯機との価格差も比較的小さく、導入しやすい状況がある。
さて、日本をみると、スマートドラム式洗濯機の市場規模は8カ国中で最も小さい。もちろん、ドラム式洗濯機そのものの市場規模の違いもある。ただ、前回の記事でも紹介したが、日本ではスマートホームを魅力的と感じている割合が調査対象であるブラジル、中国、アメリカ合衆国、イギリス、韓国、ドイツ、日本の7カ国中、最も低いという結果も出ており、スマートホームへの関心の低さも大きく影響しているだろう。
日本では、ハイエンドモデルのみがスマート家電となっているケースが多い。こうしたテクノロジの拡大には、スマートフォンが生活の一部となっている世代に実際に使用され、その体験が発信されることが欠かせなくなっている。スマート家電の選択肢が、ハイエンドモデルだけでなく手頃なモデルに広がるか、スマートホームの普及を見据えた家電メーカーの取り組みが注目される。
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