さまざまな製品の分解レポートで知られるiFixitが、発売当日に「iPhone 8」を入手し、分解レポートを公開した。
交換することの多い画面とバッテリの取り外しは容易だが、ガラス製の背面カバーは交換が難しいといったこともあり、修理のしやすさを0から10の数値(10がもっとも修理しやすい)で表す「Repairability Score」(修理容易性スコア)を6とした。
スペック面でiPhone 8と既存モデルとの大きな違いの1つは、ワイヤレス充電規格Qiへの対応だろう。分解を始める前にX線撮影装置で内部を透視したところ、大きな受電用コイルの存在がはっきりと見えた。
また、背面の素材が従来のアルミニウムからガラスに変わったことも大きな変化だ。iFixitは、表面と背面がガラス製のスマートフォンを「ガラスのサンドイッチ」と呼び、落とすと壊れやすく、修理のための分解も難しいとし、あまり高く評価していない。しかし、画面のある表面を温めて接着剤を柔らかくし、吸盤を使って開いたところ、ガラスを割ることなく比較的スムーズに内部にアクセスできた。また、画面とマザーボードを接続しているケーブルは、特殊な工具でなく標準的なプラスのドライバーで外せた。
バッテリは、“Androidの父”のスマホ「Essential Phone」と同じく引っ張るとはがれるテープ型の接着剤で固定されており、4つあるテープをはがすと簡単に交換できる。バッテリのスペックは、3.82V、1821mAh、6.96Wh。ちなみに「iPhone 7」のバッテリは、3.8V、1960mAh、7.45Whだった。
ロジックボードに実装されていた主なチップは、Apple製チップ「A11 Bionic CPU」と無線LAN(Wi-Fi)/Bluetooth/FMラジオ用チップ、2GBのSK Hynix製LPDDR4 RAM、64GBの東芝製NANDフラッシュメモリ、Qualcomm製LTEモデム「MDM9656 Snapdragon X16」、Broadcom製ワイヤレス充電用チップ、NXP製NFCチップ。
さらに分解を進めると、背面カバーに貼り付けられたQiの受電用コイルが現れた。コイルには、Appleのロゴが印刷されている。そして、背面カバーのガラス層とアルミニウム製フレームを分離した。
なお、iFixitの分解チームは1年前、「東京(での発売)はカリフォルニアに比べ16時間早いし、Apple Storeもある」ため、東京でiPhone 7、「iPhone 7 Plus」「Apple Watch Series 2」を分解した。今回は、東京でなくオーストラリアのシドニーに出張して分解を実施したが、その理由についてiFixit最高経営責任者(CEO)のKyle Wiens氏はCNET Japanによるインタビューの際、オーストラリアのX線撮影装置を使える施設で分解ができるため、と述べていた。
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