触って感じた「iPhone X」第一印象--「iPhone 8/8 Plus」とどう違う？ - (page 2)

　筋金入りのAppleファンは、これら3つの新型iPhoneの1つをきっと入手するはずだ。様子見をしていた人も、決断を下すべきときが訪れた。競争が激化するホリデーシーズンに向けて、iPhone XとiPhone 8、8 Plusは力を合わせ、サムスンの「Galaxy Note8」や動画に力を入れたLGの「V30」、Googleの次期「Pixel 2」とスマートフォン市場の覇権を争うようになるだろう。

iPhone Xに触ってみた感想：快適なサイズ

　スペックを紹介する前に、iPhone Xを実際に使用した感触をお伝えしておきたい。スクリーンサイズに関して言えば、これはApple史上最大のスマートフォンである。しかし、iPhone X本体は、実際にはiPhone 8 Plusより小さく、重量も軽い。iPhone Xでは、極薄のベゼルと、本体前面をほぼすべて覆うスクリーンが採用されているためだ。筆者がiPhone Xを手に持ったときは、しっくりくる感じだった。大きすぎるように感じた「iPhone 7 Plus」と違って、iPhone Xは機能を1つも犠牲にすることなく、使いやすいサイズのスマートフォンに回帰している。その意味で、iPhone Xのデザインは完璧に感じられる。しかし、今回は問題点が1つ、いや、いくつかある。

　iPhone Xは心地よい重量感とデザイン（「Essential Phone」と「Galaxy Note8」の中間くらいだろうか）を備えているが、ホームボタン排除の問題がまだ宙に浮いている。ホームボタンは、実際にはもう不要なものになっている。タップしてiPhone Xを起動するのは簡単だった。上にスワイプしてホーム画面に移動する操作や、下にスワイプして「コントロールセンター」を表示させる操作は、多くの「Android」スマートフォンの仕様とそれほど変わらない。

　だが、「Touch ID」もなくなっている。そして、Face IDの評価は難しい。Appleの従業員がFace IDを実際に使用してみせたデモでは、迅速に動作するように見えた。スクリーンをちらっと見て上にスワイプするだけで、本体のロックが解除される。Face IDでエラーが発生することはないのか、そして常に使いやすいのか。現時点では不明である。

　Appleが本体前面に搭載したカメラとセンサのアレイ（「TrueDepth」と呼ばれる）は期待を抱かせるが、現時点では、利口だがギミック的なアプリ群で使われている。「アニ文字」は愛らしい機能だ。筆者は自分の顔でさまざまな3D絵文字を動かすことができた。アニ文字は近未来的で奇妙な感じがしたが、概ねうまく機能した。iPhone Xの自撮りカメラ用に最適化された新しいSnapchatフィルタは、奇妙なほどよくできていた。筆者の顔は、文字通りペイントを施されたように見えた。「ポートレートモード」で撮影した自撮り写真もシャープに見える。解像度が強化された「Super Retina」の、OLEDディスプレイの画質も素晴らしい。

　iPhone Xの拡張現実（AR）の可能性にも魅力を感じる。しかし、それが既存のiPhone上での「ARKit」によるさまざまなアプリと比べてどれだけ優れているのかは、分からない。両者を直接比較する機会をまだ得られていないからだ。ARアプリを見るのは楽しかったが、われわれが試したデモのコンセプトは、過去にほかのスマートフォンでちらっと試したARKitアプリとそれほど変わらないように思えた。

　待望のデザイン刷新がやっと実現したiPhone Xの外観は素晴らしい。しかし、それ以外に追加された機能の数々は、圧倒されるようなレベルとはまだ言えない。

iPhone Xの価格と購入時期

　iPhone Xは安くない。64Gバイトモデルは999ドル（日本価格は税別11万2800円）、256Gバイトモデルは1149ドル（税別12万9800円）だ。予約は10月27日から受け付けが開始され、発売は11月3日となる。

　一方、iPhone 8とiPhone 8 Plusは、それぞれ64Gバイトモデルが699ドル（税別7万8800円）と799ドル（8万9800円）だ。