音楽教室に対する著作権使用料の徴収をめぐり、「音楽教室を守る会」が日本音楽著作権協会(JASRAC)に対して起こした訴訟の第1回口頭弁論が、9月6日に東京地方裁判所で行われた。
原告を代表して意見陳述をしたのは、音楽教室を守る会の代表である三木渡氏。「学校における音楽教育は十分といえず、民間の立場から音楽基礎教育を支えてきた」との立場を訴えた上で「著作権料徴収は(音楽教室にとって)大きなダメージであり、使用料を徴収する側も含めた音楽市場全体にとって影響を及ぼす恐れがある」と主張した。
また、1970年の著作権法制定当時から一部の音楽教室事業者は十分な規模で営業していた実績を踏まえ「著作権法22条が音楽教室からの徴収を行う意図を持っていなかったことは明白」と指摘。加えて、本件が公になって以降、「守る会」が集めた署名は56万件に及ぶとした上で「JASRACが楽曲使用料徴収機関ではなく、音楽マーケット拡大の機能を持つことで多くの資金が広く音楽市場に還元することを望む」とした。
これに対し、抗告側として意見陳述をしたJASRACの浅石道夫理事長は、「2018年1月から音楽教室の事業者の皆様に著作権手続きをお取りいただく方針を定めている」と改めて明言した上で、「(この方針には)音楽の創作者(作詞者、作曲家など)の方々が賛同しており、そのような方々で構成される10団体が賛同の意見を表明している」と、創作者を代表する側というJASRACの立場を明確にした。
また、著作権が極めて侵害されやすい権利であること、一部創作者を除くほとんどの創作者が経済的に弱い立場であることを訴え、「著作権と創作者が弱い存在である」と説明。原告ら251名全体の受講料収入は年間721億円余りに上るとし、「収入の一部を音楽の創作者に還元して、創作者の新しい作品創作や次の世代が新たな創作を志す『創造のサイクル』に参加してくれることを心から望む」と主張した。
次回の口頭弁論は10月16日午後開廷を予定している。
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