皆さんは両親とSNSでつながっているだろうか。10代の子たちが親とSNSを通じてつながったり、フォローされたりする例は少なくない。彼らは親にSNSでフォローされたり、友だちとしてつながることをどう感じているのか。そして親側はどう思っているのか。
実は、子ども側は激しい拒否をすることもあるが、同時に歓迎するケースもあるのだ。10代と親世代のSNSでの関係性と、親が取るべき態度について考えていきたい。
大学生男女を対象としたマイナビ「学生の窓口」の調査(2017年6月)によると、両親にSNSをフォローされている割合は12.2%と約1割だった。両親にSNSをフォローされるのが嫌と答えた割合は64.2%であり、嫌ではないは35.8%となった。
嫌な理由は、「監視されているようだから」が多い。愚痴や恋愛、趣味など、知られたくないことがあるからという理由が多かった。一方、知られてもかまわない例では、「見られて困ることは書いていない」「隠し事はしていない」という意見が多かった。「近況報告になる」「親と交流したい」「フォロワーを稼ぎたい」という理由で、むしろ「フォローしてほしい」と考える学生も多いのだ。
実際、家族と離れて住む大学生などは、親への近況報告として利用している例は少なくない。「いちいち連絡しないでも元気とか今やっていることとか伝えられるから便利」とある女子学生は言う。東京に出た息子の近況をTwitterで見ているという地方在住の保護者もいる。「連絡は多いわけじゃないけれど、(Twitterを見れば)海外に行ったんだなとか、元気そうだなとか分かるので安心できる」と話していた。
大学生にもなると親元を離れることも多く、成人してアルバイトや飲酒、男女交際などが自由になることが多い。SNSを見られても行動を制限されることはほとんどないので、むしろSNSを通じて交流することを歓迎する割合が高くなるようだ。Facebookなどでも、両親とつながったり、コメント欄でやり取りしたりしている大学生を複数見かける。
CanCamの「親とSNS」調査(2017年9月)によると、親とつながっているSNSはLINE(78%)が、Instagram(16%)やFacebook(13%)、Twitter(8%)に大差をつけてトップだった。LINEは特に若い層には電話やメールに代わるコミュニケーションツールとして利用されているため、家族とLINEでつながり連絡を取ることは抵抗感がないようだ。
一方、「親と繋がりたくないSNSは」という質問に対しては、Twitterは72%、Instagramは67%、Facebookは47%などとLINEに比べてかなり高くなっている。
Twitterは短文で本音が出やすいSNSだ。そのため、本音や嘘、愚痴などを見られるのが嫌と感じているというわけだ。Instagramは、格好つけている姿を見られたくないとか、買ったものの写真が登場しているので見せたくないという気持ちが働くという。Facebookには、周囲の友だちの名前と顔が筒抜けになるというリスクがあるようだ。
本音が出やすいTwitter、リア充アピールの場であるInstagram、実名利用で所属や交友関係が明らかになるFacebookというそれぞれの特徴が出た心理と言えるだろう。
一方、中高生は保護者とつながりたくない例が圧倒的に多いようだ。私が見た限りでは、「そもそも親が見ることは想定もしていない」タイプと、「親に見られたくない」タイプが多かった。前者は、Twitterなどでも鍵をかけず、LINEなどと同じような使い方をしてしまっているタイプだ。そういう子のTwitterは本音が漏れまくっており、匿名なら何を書いてもいいと考えているようなので心配になる。
後者は、保護者からフォローされたり叱られたりしたことをきっかけにアカウントを見られていたことに気づいて、怒ってブロックしている例が多かった。「趣味に口出しされたり、口調が悪いとか言われたりして不愉快だった」「こっそり見られていたようで、Twitterでしか書いてないことを知っていたので腹が立った」などと言っていた。
実は、子どものアカウントを監視している保護者は少なくない。たとえばFacebookは「知り合いかも」の精度が高いため、単純に知り合いとしてお勧めされるケースが多い。
Twitterは、実は匿名でも簡単に個人を特定できる。特に中高生は、同じ趣味や属性の人たちとつながりたいので、プロフィールに学年や誕生日、居住地、部活、趣味などを羅列していることが多い。そうでなくとも、「体育祭」「文化祭」「開校記念日」「学校の最寄り駅」などで個人を特定できる例は少なくないのだ。もちろん、単純に「おすすめユーザー」欄で表示されるという例もある。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス