夏休みも終わりに近づいてきた。この時期に10代のSNS投稿で目立つのは、宿題の話題だ。リアルタイム検索で「宿題」と検索すると、宿題と並んで「終わらない」「手を付けてない」「オール(=オールナイト、徹夜のこと)」「徹夜」などの候補が表示される。子どもたちの状況がとても分かる結果と言えるだろう。
この時期によく見られる10代のSNSにおける宿題事情と問題点について見ていきたい。
10代の子たちの間では、動画配信がますます浸透している。TweetCasting(ツイキャス)やLINE LIVE、SHOWROOMなど、さまざまなサービスを使って気軽に配信しているのだ。中でもこの時期目立つのが「宿題ライブ」。各動画サービスで、宿題をしながら動画配信している子どもたちが目立つ。
ツイキャスについてはTwitterで配信案内をする際に「モイ!今夜は宿題しながら配信します」などと書いている子が多く、LINE LIVEでは「宿題しながら配信中」などと書いている子が多かった。見ると、ノートを開いて宿題をしながら、時々コメントを返したり歌を歌ったりという不思議な配信をしていた。究極の“ながら配信”と言えるだろう。
Twitterなどで「宿題終わるまで低浮上(ログイン率低め)」という名前にしたり、そのような固定ツイートをしたりしている子たちは可愛いもの。宿題くらいではSNSへの投稿はあまり減ることがない子の方が多いようだ。
Instagramでハッシュタグ「#宿題終わらない」を検索すると、開いた宿題のノート写真などが投稿されている。現在、「#宿題」は10万件、「#宿題終わらない」は4000件投稿されている。宿題さえ投稿ネタとしていることがよく分かる。
一方、LINEのタイムラインをハッシュタグ「#宿題終わらない」で検索すると、様子はまた異なる。「今夜オールする人ハートすたプリーズ #宿題終わらない」「宿題終わった? 終わった→ハートスタンプ、もー終わる→笑顔スタンプ、あと半分→グッドスタンプ、かなりある→照れスタンプ、やってない→焦りスタンプ、受験生です→泣くスタンプ」など、宿題仲間探しやコミュニケーションのネタとして使われているようだ。
つまり、宿題は夏の終わりの季語のようなもので、コミュニケーションのネタやSNSにおいて共感を呼ぶ投稿ネタとして使われているというわけだ。
「宿題代行」ビジネスが流行していることをご存知だろうか。宿題代行ビジネスは2014年前後からテレビ番組などでも取り上げられており、長期休暇で宿題も多く出される夏休みに検索件数が増える傾向にある。
Googleなどで調べると、さまざまな宿題代行ビジネスが見つかる。あるサイトには「現在夏休みの宿題の代行を受付しております。ご依頼は1つ1つ手作業となりますので、大量生産はできません」と明記されている。依頼件数は300件を突破したと言い、料金プランは読書感想文400文字が3000~4000円、工作代行が3万円などとなっている。
かなり高額だが、小学生の場合は受験に集中させるために保護者が宿題代行サービスを利用する場合が多いようだ。そのほか、「習いごとに集中させるため」「無駄なことをしなくて済むため」などと考えている場合が多いという。それ以外に、大学生が宿題代行サービスを利用するケースも多いようだ。
お金のない中高生の子たちは、Yahoo!知恵袋で「作文が苦手なので書いてください」と投稿したりしている。「お礼に(Yahoo!知恵袋での活躍度を示す)知恵コインを送る」としているものもある。知恵コインは換金できるわけではないので、コメント欄で有料で他のサイトで依頼するよう突っ込まれていた。宿題代行そのものは中高生にもある程度認知されているらしく、「宿題代行頼みたい」という旨のツイートは複数見かけた。
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