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Nianticが挑戦する10年以上先を見据えた製品開発とリアルイベント

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 Pokemon GOがローンチから1周年を迎えたのにあわせ、リアルワールドイベント「Pokemon GO Fest シカゴ」が7月22日に米国シカゴ市で開催された。2万人のトレーナーが1カ所に集まって同時にプレイし、さらにワールドワイドでも連携するというスタイルは、Nianticにとっても初の試みだった。そして、日本でも初めて公式リアルイベントが8月14日に開催された。

 現実世界とゲーム世界をつなぐ、新しいゲームジャンルを確立しつつあるNianticは、リアルイベントで何を目指そうとしているのか。Pokemon GOとIngressの今後はどうなるのか。Festの開催前にアジア統括本部長の川島優志氏と、アジア統括マーケティングマネージャーの須賀健人氏に話を聞いた。

――今回、シカゴでこれだけ大規模なイベントを開催することをいつ決まったのですか。

アジア統括マーケティングマネージャーの須賀健人氏
アジア統括マーケティングマネージャーの須賀健人氏

須賀氏:1周年の節目で何らかのイベントを開催しようと以前から考えていて、実現できる準備が整ったのがたまたまこの日でした。会場をシカゴにしたのは、米国の中心に位置していて、ニューヨークやサンフランシスコからも来やすいこと。また、2万人が1カ所に集まってプレイできるグラントパークを会場として使えたというのもあります。Pokemon GOに関しては、ラプラスが宮城県全体で出没するといった広範囲での大規模イベントを開催したことはありますが、これだけの数のトレーナーが決められたエリア1カ所に集まって、一緒にプレイするといのは、Nianticにとっても初めてで、世界でも例のない試みだと思います。

川島氏:Festの開催が最初にローンチした日付ではなく、日本の1年目になったのは偶然で、シカゴになったのもたまたまですが、結果的にはちょうどいいタイミングだったと思っています。イベントのアイデアはポケモン社とも相談しながら考えてきましたが、レイドバトルがあり、ポケモンを捕まえた数によってボーナスが出るといった、ゲームとしての部分はすんなりと決まりました。

 そして、シカゴ会場だけで完結せず、グローバルで参加するトレーナーのプレイが相互に反映される「グローバルチャレンジ」は、我々がいちばんこだわった部分ではあります。シカゴと世界が一緒に何かを成し遂げるというコンセプトは、Ingressの時からNianticが目指してきたもので、(CEOの)ジョン・ハンケの思い入れが大きいところでもあります。

――イベントを開催するにあたって大変だったことは。

須賀氏:一番気をつけたのが安全性です。人数を2万人に設定して、場所も制限し、有料(20ドル)にしたのもそのためで、会場内には給水所や救護所などの設備を用意しています。その場に行かなければプレイできないというのは、Nianticのゲームの大きな特徴の1つではありますが、1カ所に集まってプレイするだけでなく、その場の空気や景色を共有しながら、コミュニティを作ってもらうことが我々にとって一番大切なことなんです。世界中からシカゴに集まって仲良くなるきっかけにするのもそうですし、会場内には各チーム毎に集まれるラウンジを設置し、スマホを充電しながら、新しいコミュニティをづくりをしてほしいと考えています。

――シカゴ限定の特別イベントにしなかったのはなぜ?

川島氏:イベントの特別メダルのような、会場に来た人だけのプレミアは用意していますが、ここにだけに登場するレアモンさえ捕まえられればそれでいいというのにはしたくはなかった。あくまでもメインは顔を合わせて一緒に何かを体験することで、Nianticは今までもそこに着目してきました。

  • シカゴの会場風景

  • ラウンジ

  • 特別メダル

須賀氏:イベントはゲームの楽しさを伝えるのが目的であって、お金儲けがゴールではない。参加チケットを100ドルで販売して、レアポケモンの「ミュウツー」を出せば儲かると言われたが、それは我々が絶対にやらないことではあります。

川島氏:一方で、Nianticのアプリは、これまでの旅とは異なる親近感を持って、新しい場所に訪れるきっかけにしていきたい。たとえば、今回は米国には出現しないヘラクロスという地域限定ポケモンが出没しますが、ポケモンも行ってるんだから、自分もそこへ行ってみようと思ってもらえる、そんな仕掛けは取り入れるようにしています。

――シカゴに引き続き、横浜やヨーロッパなど、他の地域で次々リアルイベントを開催しますが、リアルイベントの世界展開をどのように考えてますか。

須賀氏:イベントは画一的ではなく、今回のように大きな公園1カ所でやるのもあれば、小さなスケールで場所を複数にするなど、選択肢はいろいろあります。より多くの方が楽しんで遊んでもらえる仕組みを検討し、柔軟な形でやっていくべきだと思っています。横浜で開催される「ピカチュウだけじゃない ピカチュウ大量発生チュウ!」では、Pokemon GO PARKという今回のFestに似た、公園にスペシャルなポケモンが出現しますし、他にも特別なことが起きる予定です。

ポケモンが主催する街型イベント「ピカチュウだけじゃない ピカチュウ大量発生チュウ!」にて、国内初の「Pokemon GO」公式イベント「Pokemon GO STADIAM(ポケモン ゴー スタジアム)」が8月14日、横浜スタジアムで開催された。「Pokemon GO PARK」と「Pokemon GO STADIUM」には、200万人以上のトレーナーが集まり、そこで1億2000万匹以上のポケモン、そのうち1500万匹以上のピカチュウが捕まえられた。

――日本では自治体が積極的にイベントの開催を誘致するなどしているが、世界では?

須賀氏:たとえば、米国ではKnight Foundationという地方の活性化を推進する団体とコラボしたり、英国ではBig Heritageという地方の遺跡などをプロモートする団体とコラボしたり、一部にそうした流れはありますが、日本ほどではありません。シカゴの場合は、事前に話し合いをして地元のホテルが協力してくれるなどしていますが、そうしたことに関しても日本はリードしています。

川島氏:これだけ大規模なイベントをやるまで1年かかったのにはいろいろ理由がありますが、どうやって安全にするかが本当に大事で、自治体の協力は大事な鍵になります。リアルイベントについては毎年といわず、いろんなところでできる限りやりたいと思っていて、プランニングを進めているところです。

――イベントはアイテムの売れ行きや収益に影響を与えていますか?

須賀氏:現時点でシカゴの効果はわかりませんが、収益に関してはレイドバトル導入後、順調に推移しています。また、バトルで勝つためにポケモンを強くする必要ができたので、再度プレイを始めたといった声や、伝説のポケモンの登場に関する発表がTwitterで拡散されたことで、休眠ユーザーが呼び起こせているとは感じています。

――次々と新しい機能が導入されましたが、今後も新しく登場する技術や変化にどう対応するかが難しくなるのではないでしょうか。

須賀氏:今は様々な技術が登場する過渡期であり、あらゆる可能性を探りながら各パートナーと連携しつつ、次世代の技術を一緒に作っていこうとしています。Pokemon GOは最初のPVに出てきたものは、順番も時期もまだ決めていませんがすべて導入する予定で、できるだけ早く実装したいと開発チームは考えています。

アジア統括本部長の川島優志氏
アジア統括本部長の川島優志氏

川島氏:ARという技術に関して言えば、Pokemon GOは代表的なゲームになりつつあります。Appleが(開発者向けイベントWWDCで)発表したARKitでPokemon GOがデモに使われたように、幸いにも新しい技術を開発する側からも興味を持ってもらえていますし、(Android端末でAR技術を扱えるようにする)プロジェクトTangoのチームとも、以前から連絡を取り合っています。

 ただ、思っている以上にAR技術の進化は早く、実装が当たり前になるのもそう遠くないかもしれません。デウェアラブルも含め、プレイの魅力を引き出せるデバイスにはできるだけ対応し、常に技術をリードすることで、体験の質を上げることを目指します。

須賀氏:同じことはIngressでも考えていて、次の(一般的に2.0と呼ばれている)バージョンでは、デバイスを使って複合的な遊び方ができるものになる予定です。ルールに関しても詳細はまだ話せませんが、今までと違う楽しみ方をしてもらえるように考えていて、ひと言で言えばとてもかっこいいものになる予定です。

Ingressの公式大規模イベント「XM Anomaly」がイベントが大阪にて11月4日に開催されることが決定した。日本での同イベントの開催は2016年9月24日に瀬戸内で開催された「Via Lux(ヴィアラックス)」以来で久々。

川島氏:Pokemo GOとIngress、どちらのゲームもすごく長いスパンで開発を計画していて、それぞれの経験が相互に活かされればいいと思っている。特にPokemon GOは大きなムーブメントを作ることができ、今も6500万人以上がプレイしてくれています。壮大に聞こえるでしょうが、ポケモンをずっと育てて、ゲームを楽しみたい人たちのために、10何年も20年も続くプロダクトにしたい。そういう意味では、我々にとって開発は始まったばかりなんです。

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