逆に、大学生が格安で宿題代行バイトをしている例もある。たとえばTwitterで「宿題代行」で検索すると、宿題代行という名前やハッシュタグをつけたアカウントやツイートが複数見つかる。「某国立大生」「慶応大生」などと名門大学生を名乗っている例が多いようだ。
大学生がお小遣い稼ぎに使うアプリの代表的なものが「メルカリ」だが、メルカリでは「宿題代行」と明記された完成品の工作などが売れていた。6000円で売却済みの宿題工作のコメント欄で、「小学生っぽくやっていただけるとありがたいです」「ガッツリ親が手伝った感がない感じで、小学生が頑張った感じで、親少しが良いです」と、完全に小学生の夏休みの宿題用に新規作成を依頼しているものもあった。
スキルのフリーマーケット「ココナラ」でも宿題代行をするという投稿は複数見つかる。わずか一問100円程度で引き受けるとした投稿に、「迅速な対応ありがとうございました」などのコメントと評価が複数ついたものもある。
学校が宿題を出す目的は、児童・生徒の学力向上や学習習慣をつけるためだろう。宿題代行ビジネス自体は違法ではないというが、学校の意図した目的に反していることは確かだ。
保護者が小学生の子どものために代行ビジネスを頼むのは、ズルを公に認めることであり子どもにとって良いことはない。ネットで代行を依頼する中高生もいろいろと安易に考え過ぎと言えるだろう。モラル違反を知った上でこのようなバイトをする大学生も、決して褒められたものではない。
10代の子どもたちにとって、夏休みは貴重な経験ができる大切なときだ。普段とは違うところに出かけたり、いつもとは違う体験ができたり、友だち同士濃密な時間を過ごせたりする貴重なときだ。しかし、児童・生徒・学生である以上、学業が本業であり宿題は自分の力すべきなのは言うまでもない。
インターネットが身近な子どもたちにとって、宿題の位置付けは変わりつつあるようだ。保護者は子どもたちが宿題とどのように向き合っているのか、インターネットでどのような活動をしているのかを知っておくべきだろう。
高橋暁子
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。
ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/
Twitter:@akiakatsuki
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