「編集とは魔法である」とは、なんだか大げさに聞こえるが、「編集」という仕事が表すことの本質を知れば知るほど、「なるほど。これは魔法だ」と思えてくる。著者は「編集者」ではあるが、よくある書籍や雑誌の編集者とは異なるやり方を築き上げているようだ。そのやり方を知ることは、自分が携わっているどのような仕事をも、違った側面から見直すきっかけになるだろう。
「るろうにほん 熊本へ」(ワニブックス)という本がある。震災後、それを乗り越えてたくましく生きていこうとしている、ふつうの熊本の人たちにスポットを当て、人々の話とともに、おいしいものや面白い場所を紹介している。単なるガイドブックではなく、人々の温かさや力強さを感じるストーリーにあふれている。このるろうにほん 熊本への編集者が、本書「魔法をかける編集」の著者であることは、本書を読み始めて初めて知ったのだが、その編集スタンスを知って、いろいろとふに落ちた。
著者は、編集の重要性を説くだけではなく、「これは、こうあるべき」という固定観念を覆すことを恐れずに、新しいことをやってみることの面白さも伝えてくれている。「そういうアプローチの方法があったのか」と、良い意味での刺激を受けられる。
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