人気YouTuberが「VALU」で売り抜けか--運営会社が対策発表、買い戻しの事態に

 人物を株式に見立てた仮想株式「VA」を取引できるマイクロトレードサービス 「VALU」を運営するVALUは8月17日、一部のユーザーが実施した、利用規約に違反する疑いのある取引について対応を発表した。


ヒカル氏のVALU。現在では、出金停止措置が執られている

 VALUは、SNSのフォロワー数や友達数をもとに時価総額を算出し、VAを発行してユーザー自身の価値をトレードできるサービス。ユーザー自身の価値をVAとして売り出して、それを購入(購入者をVALUERと呼ぶ)することで資金調達できるため、そのユーザーの支援につながる。また、ユーザーはVALUERに見返りとして優待を付けることができ、VAの価値をさらに高められる。なお、VAの購入にはビットコインを使用しており、VAをビットコインに交換することで現金化が可能となる。

 今回の対応は、人気YouTuberのヒカル氏が、自身のVA価格がつり上がるように注目を集める投稿をTwitterなどで続けた後、同氏が保有するすべてのVAを前日の終値(ストップ高)で売却。VAが暴落し、同氏のVAを購入したユーザーが損失を被ったとする問題に対するもの。ヒカル氏と同じプロダクションのVAZに所属しており、VAを発行しているYouTuberのラファエル氏、いっくん氏(禁断ボーイズ)も自身のVAをすべて売却したほか、VAZ顧問の井川氏も、ヒカル氏らのVAを保有していたものの、全VA放出前に手放している。

 インターネット上では、VAの価格をつり上げた最高値の状態で売り抜けたことに批判が集まったほか、井川氏の行動がインサイダー取引ではないかとする声も多く挙がった。ヒカル氏は、期待を煽るようなツイートを削除したほか、取引に関する疑惑を否定。多くのVALUERからは、事前に優待に関する投稿もあったとしているが、同氏は優待期限がVA販売前であることを理由にこれを否定している。井川氏も、インサイダー疑惑を否定する内容をVALU内に掲載した。


井川氏のコメント

 VALUでは、4名のアカウントを規約違反の疑いがあるとして警告。ヒカル氏、ラファエル氏、いっくん氏から「VAを自身で買い戻したい」という意向を受け、利用者保護の観点から、特別措置として該当VAの売買注文を全てキャンセルした。自社株買いには、5465万円相当のビットコインを使用するという。ヒカル氏は「今回は僕の行動や言動により多くのファンや視聴者の皆さん、普段から関わってくださっている方々にご心配をおかけしたことを深くお詫び申し上げます」と投稿した。

 VALUリードエンジニアの小飼弾氏のツイートによると、今回はロールバックではなく、未成立注文の取り消しになるという。また、利用者保護を最優先に考え、取引に関するルール作りを進めるという。新ルールについては、決定次第発表するとのことだ。

 なお、同社では、一連の取引で発生した手数料収入について、VALUのミッションである「人の価値を発掘し、高める」と同じ考えを持つ組織に寄付し、寄付先や寄付額については確定後にあらためて報告するとしている。

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