韓国で、世界初のロボット税と呼ばれる税金を課そうとする動きがある。
これが実現すれば、韓国は世界で初めて、大規模なロボット導入によるオートメーションが低~中程度のスキルの労働者に及ぼす影響を考慮して、税法を変更した国になる。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領が率いる現政権が提案している税法改正は、ロボットに直接税を課すものではない。現在提案されているのは、オートメーションへの投資に対する税制上の優遇措置の縮小だ。
2016年5月には、欧州議会のMady Delvaux議員から、ロボットへの広範囲な課税が提案される一件もあった。これに対する反応は大半が否定的なもので、この提案が実現に向けて進むことはなかった。
韓国政府が考えている「ロボット税」は、欧州で提案されたものほど先鋭的ではない。同国の現在の税制では、倉庫用や産業用ロボットなどのオートメーション設備を購入する韓国企業は、その投資額の3〜7%にあたる税控除を受けることができる。提案されている法改正は、この控除率を最高2%に下げるというもので、現状では可決される可能性が高い。
これが企業のオートメーション技術の導入を抑制しようとする試みではないことは明らかだ。むしろ、オートメーションによる今後の失業の拡大は、韓国の税収を大きく損なうほどの規模になるという予想を、政府が公に認めたものと言うべきだろう。
韓国の政策立案者は、こうした税控除による優遇措置を数%幅で減らすことで、所得税の税収減が相殺され、社会福祉や生活保護の財源確保につながると期待している。
Bill Gates氏は、2017年2月に、企業に対するロボット税の課税を支持する意見を表明した。だが、Delvaux議員の場合と同様に、インターネットはこの見解に対して即座に、そして猛烈に反発した。
ごく簡単に説明すると、Gate氏の論拠は、現在、人間の労働者は生産高に応じて得た収入に対して課税されているという点にある。そのうえで、もしロボットがその仕事を肩代わりするのであれば、政府はその仕事について税を徴収できるようにすべきというのが、ロボット税推進派の主張だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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