「Firefox 57はビッグバンを引き起こす」--モジラCEOインタビュー - (page 2)

Stephen Shankland (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2017年08月15日 07時30分

 その後、モバイルプラットフォームが勃興しました。私たちはウェブの戦いに没頭していたため、モバイルへの対応が遅れました。現在では、基本的に1社か2社が、ユーザーが実行できることや公開できること、消費できるものを管理しています。それは、インターネットの約束に反しています。

 大企業が途方もない規模で人々の生活を管理するという、未来のディストピアを描いたSFで予想されたことの多くが、間違いなく既に現実になっています。私はそれらの大企業をメガ企業と呼んでいます。GoogleやMicrosoft、Apple、Facebook、Amazonに触れずにインターネットを利用できるか試してみてください。そんなことは不可能です。

--あなたが言うのは「Google Chrome」ブラウザのことですか、それとも、より広範な意味でGoogleのことでしょうか。

 Chromeブラウザのことです。ただし、1つの企業がユーザーとあらゆるものの間に介在するという概念も含みます。情報の流れを完全に掌握する特定の企業を通さずに、自分の友達や家族、雇用主、学校、政府と対話しようとしても、実際にはできないでしょう。

--ライバルに対抗するために、ブラウザ以外にも思考を拡大して、ウェブの所有権を検討する必要があるとお考えですか。

 いいえ、その必要はありません。それは危険なことです。過去に成功を収めたとき、私たちは扇動者、つまり、人々の代表となる善良なエージェントのような役割を果たしました。エコシステムでそうした反対勢力になるだけで、良い結果がもたらされることもあります。GoogleやApple、Facebookに立ち向かうのは、ばかげています。しかし、私たちには、システムをもう少し正直で、もう少しオープンな状態に保つために果たすべき役割があります。

--あなたは最初からFirefoxに関与していましたが、IEとの戦いが終わった後にMozillaを去りました。Eich氏の辞任後に復帰したのはなぜですか。

 私には、主に2つの動機がありました。1つ目は、それがMozillaだから、という感情的な動機です。それまで親密に関わってきたのに、Mozillaが生き残れないかもしれないという危機感を実際に感じたからです。2つ目の理由は、私にはMozillaが世界においてどれだけ重要な存在であるかも分かっていたからです。潜在的な可能性がどれだけあるかが分かっていました。その当時、私たちはデータ主導でアジャイルな、現代の製品開発エンジニアリング組織ではありませんでした。

--今は新しいブランドがありますね。あなたは先頃、初の企業買収を行いました。私たちは、ブラウザだけにとどまらない視点で、Mozillaとは何かを考え直すべきなのでしょうか。

 Mozillaは進化しています。私はMozillaを3部作のように考えています。2作目は順調ではありませんでしたが、良い結末を迎えることを願っています。「スター・ウォーズ」を思い浮かべるかもしれません。大事なのは、自分たちのルーツに回帰することです。そのルーツの本質はブラウザでありません。ひとりひとりのユーザー、そして、ユーザー全体にとってインターネットを良いものにするために、自分たちに何ができるのか、という問いこそが私たちのルーツです。


提供:Stephen Shankland/CNET

--今から10年前、人々がFirefoxを受け入れたのは、動作が高速で、タブやポップアップ広告ブロックなど、彼らの求める機能が搭載されていたからです。Mozillaは、私たちが欠点に目をつぶって使用する製品ではなく、人々が喜んで使いたくなる製品を提供して善行をなす、ということを再び目指すのですか。

 人々により健康的な食生活を送ってもらいたいと考えているとしましょう。彼らに野菜を無理やり食べさせる方法と、オーガニック食品と地元でとれた食品を使って、本当においしい料理を作る方法の2つがあります。2つ目の方法は難易度がはるかに高いですが、それこそが私たちのやらなければならないことです。人々が必要とするものだけでなく、大いに気に入ってもらえるような製品や製品体験を作り出す必要があります。

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