ソニーは8月1日、2018年3月期第1四半期(2017年4~6月)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比15.2%増の1兆8581億円、営業利益は同2.8倍の1576億円の増収増益となった。税引前利益は同2.6倍の1486億円、四半期純利益は同3.8倍の809億円になった。
代表執行役副社長兼CFOの吉田憲一郎氏は「前年度 (2016年4~6月)と当年度の第1四半期の利益は一時的損益が含まれており、一時的要因を除いた実質ベースでの損益はプラス114億円。前年同期比では10.4%増と試算している」とした。
セグメント別では、モバイル・コミュニケーション分野で減収、ゲーム&ネットワークサービス、金融、その他分野で減益となったほかは増収増益を確保。中でも前年同期に熊本地震の影響を受けたイメージング・プロダクツ&ソリューション分野は、売上高が前年同期27.3%増の1556億円、営業利益が同157億円増の232億円の大幅な増収増益となった。
「2016年は部品の供給不足を起こしたが、当四半期はその影響がなくなり増収増益となった。製品個別でも連写ができる『α9』がプロスポーツカメラマン、報道カメラマンから高い評価をいただいている。デジタルカメラの販売台数を4月時点の見通しである380万台から400万台へ引き上げる。売上高は1.6%アップし6500億円、営業利益は120億円上方修正し720億円とする」(吉田氏)とコメントした。
同じく、大幅な増収となった半導体分野では、売上高が同41.4%増の2043億円、営業利益が同435億円のマイナスから554億円のプラスへと大幅に損益を改善した。「増収はモバイル機器向けイメージセンサの販売数量増。営業利益は増収の影響のほか、カメラモジュールの製造子会社の譲渡益、熊本地震の受取保険金など」(吉田氏)と説明した。
そのほか、スマートフォンの製品ミックスの変化により売上高はほぼ前年並みとなったモバイル・コミュニケーション分野は、オペレーション費用や研究開発費の削減もあり、営業利益は32億円増益の36億円となった。
同5.4%の増収は確保したものの、前年同期から263億円の大幅減益となったゲーム&ネットワークサービス分野は「前年は自社ソフト『アンチャーテッド』が大きく貢献した。当期は『PS4』の価格改定などの影響もあり、減益となった。ただしプレイステーションネットワークの売上は増収となっている」(吉田氏)と現状を話す。
また、テレビの販売台数減少の影響を受けたホームエンタテインメント&サウンド分野は「売上高は9%の増収、営業利益は226億円で増益となっている。4Kテレビを中心に高付加価値シフトした商品ミックスの改善が順調に進んでいる。優れた画質、音質、デザインを持つ有機ELテレビの販売も堅調」(吉田氏)とする。
低価格4Kテレビが登場が話題になっていることに対しては「2Kテレビは前年より減少しているが、4Kの販売台数は増加しており、商品ミックスは改善している方向。4Kテレビは順調に推移しており、マーケットの比率も4Kの方が若干高い。販売は非常に好調。計画通りに進捗している」(ソニー執行役員コーポレートエグゼクティブの武田和彦氏)とコメントした。
一時的要因はありながらも、第1四半期の営業利益としては10年ぶりの最高益となった。これに対し吉田氏は「10年前、20年前の好業績の時は翌年に業績を崩している。危機感を失うことが最もきつい。経営チームは緊張感を持って続けていけるかが課題」と慎重な姿勢を見せた。
2018年3月期通期の連結業績見通しは、売上高を4月時点の見通しである8兆円から8兆3000億円へと上方修正したが、営業利益5000億円、税引き前利益4700億円、当期純利益2550億円は据え置いた。
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