ヤフーの第1四半期決算は好調--Yahoo!ショッピングの広告枠については「深く反省」

 ヤフーは7月28日、2017年度第1四半期の決算を発表した。売上高は2127億円で、前年同期比で4.1%増と第1四半期では21期連続での増収となった。営業利益は522億円(同2.6%増)。


(左から)ヤフー副社長執行役員CFOの大矢俊樹氏、同社代表取締役社長CEOの宮坂学氏

 今年度から事業セグメントを変更している。広告やメディアなどのマーケティングソリューション事業を「メディア事業」に変更し、「ヤフオク!」や「Yahoo!ショッピング」といったコンシューマ事業や「Yahoo!ウォレット」といった決済周りについてはエコシステムでの収益化を目指すべく「コマース事業」に一本化した。また、データセンタに関連する事業は「その他」に分類される。


セグメントを変更

 メディア事業では、広告関連売上高は704億円と、前年同期比7.8%増。ディスプレイ広告が伸びたほか、検索連動型広告も順調に回復している。スマートフォン広告の売上高は386億円で、広告売上高におけるスマートフォン広告の比率も54.8%と過去最高となった。また、「Yahoo! JAPAN」トップページのリッチメディア化を進めており、PC版でもトップページでの動画チャネル化を一部テストしている。


業績ハイライト

 コマース事業では、ソフトバンク会員向けに、スマートフォンユーザーは無料で「Yahoo!プレミアム」会員が利用できる施策を展開。結果、前年同期比で会員ID数は40.8%増となったほか、月額有料会員ID数も2476万人と、ソフトバンクとの連携が功を奏したとしている。また、ソフトバンクユーザー向けに行った、Yahoo!ショッピングでのポイントを10倍で獲得できるキャンペーン施策が奏功し、ショッピング事業取扱高は1398億円となり、取扱高の成長率も39.9%増となった。

 また、ショッピング広告も順調に推移し、売上高は55億円と90%増となっている。ヤフー代表取締役社長の宮坂学氏は、「ポイントを多く配布するため、損益分岐点に来ていないと指摘されるが、ショッピング広告は右肩上がり。ここ1年はポイント費用比率よりも、広告テイクレートの方が上回っている」とし、単体でも持続可能なビジネスモデルになってきていると述べた。


Yahoo!ショッピングにおける取扱高における、広告テイクレートとポイント利用比率の推移

 金融関連サービスでは、「Yahoo! JAPANカード」有効会員数が382万枚と前年同月比で1.5倍に増加。取扱高も2119億円と、前年同期比で2倍となっている。また、デジタルウォレットサービス「Yahoo!ウォレット」では、3734万口座と過去最高となり、取扱高も3218億円と前年同期比で14.2%増加した。

 今後の展開としては、ECの取扱高を最大化することで、ショッピング広告やクレジットカードの取扱高を牽引するほか、「Yahoo! JAPAN」トップページのリッチメディア化、スーパーコンピュータ「kukai」の導入による計算処理速度の大幅な高速化により、データドリブンを加速させ、広告のパーソナライズや音声認識の精度向上に活用するとしている。


ECを最大化することで広告販売やカード利用にもつなげていく

Yahoo!ショッピングの広告枠表示について「深く反省している」

 質疑応答では、記者からYahoo!ショッピングにおいて、検索結果の「売れている順」よりも上位に、通常の商品項目とほぼ同じデザインの広告枠を表示する「アイテムマッチ」や、検索結果の順位に影響を与える「PRオプション」についての質問が多く寄せられた。なお、アイテムマッチについては、広告の表記として不十分との指摘が消費者庁や各メディアからあり、すでに撤廃されている。

 アイテムマッチについて宮坂氏は、「我々はミスをしてしまった。もう少し早く気づけばよかったと深く反省している。みなさまからしっかりと意見を聞きながら、少しでも売り場を良くしていきたい」としている。PRオプションについては、「ユーザーファーストとして、良いものを手軽に届けられるように、インセンティブなど従来の小売の手法も取り入れている」とし、「こういった施策により、ユーザーに対してポイント還元などが実現できている。良い商品を少しでもお得な価格で提供するには、さまざまなビジネスモデルを作らなければならず、その一環としてご理解いただければ」としている。

 また、「(PRオプションは)誰もが買える商品ではなく、信頼のおける売り主に対して選択肢として提供している。評価やレビューなど複数の項目を組み合わせて広告をおすすめしている」という。

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