LINEで出前が頼める「LINEデリマ」開始--フードデリバリー再挑戦 - (page 2)

出前館の「シェアリングデリバリー」で裾野の拡大なるか


トークセッションの模様

 発表会の後半では、藤井氏を司会にトークセッションを実施した。出前館の運営会社である、夢の街創造委員会代表取締役社長の中村利江氏のほか、出前館と協力していて一部店舗でデリバリーサービスをテスト運用する立場から、吉野家代表取締役社長の河村泰貴氏が登壇した。

 LINEデリマにおいて大きな役割を担う出前館は、2000年にサービスを開始。しかし当時は「出前をネット注文する」という文化が醸成されているとは言えず、また注文にあたってPCが必要であった影響もあり、知名度などで苦戦したという。

 ただ、スマホの普及は出前館のビジネスにも好影響を与えた。中村氏は、「日本の出前といえば、ポストに投函されたリーフレットなどを見て、電話で注文するのが常識だった。これがスマホの普及によって変わってきていて、今まさにスマホからの注文が増えている」と述べた。


夢の街創造委員会代表取締役社長の中村利江氏

 一方で課題もある。一人暮らし世帯の増加、女性の社会進出などの影響により、「自宅で料理ができない」「ならば出前を取ろう」というニーズが着実に高まっているが、これを実際に宅配する人手が慢性的に不足している。

 そこで出前館では「シェアリングデリバリー」型のサービスを新たに立ち上げた。これは、出前のための人材やバイクを確保できない飲食店などに対し、新聞配達店などのパートナーが出前の実務を代行するというもの。現在は東京・恵比寿など一部地域限定でサービスを展開。吉野家もこのシェアリングデリバリーを活用して、出前に対応している。

 吉野家でのシェアリングデリバリーのテスト導入は3月にスタート。吉野家代表取締役社長の河村泰貴氏は、「(導入効果については)まだ細かな分析はできていない。ただ、吉野家の店頭は約8割が男性だが、デリバリーについては女性のほうが利用が多かった」と言及している。

 河村氏によると、吉野家ではデリバリーサービス参入の可能性を数年来模索してきたものの、店舗オペレーションの難しさ、ウェブサイトの構築がハードルだったという。しかし出前館との連携により、店舗側の対応は「配達用のお弁当を作って、配達員の方に渡すだけ。店舗側の負荷はほとんどない」と河村氏は説明。スムーズに体制が構築できたとしている。


吉野家代表取締役社長の河村泰貴氏

 中村氏は、6800万人規模に達するLINEユーザー基盤にも期待を寄せている。「AIデータの活用はぜひやりたい。出前館の会員データとLINEのデータを掛け合わせれば、『お腹が空いたから出前を頼もう』ではなく、こちらから『そろそろお腹が空いたたんじゃない? 牛丼どう?』と言える仕組みは十分できると思う」としている。

 このほか、質疑応答では、調理品以外の商品をLINEデリマで取り扱う件について、詳細を問う場面があった。藤井氏は「パートナー選定も含め、現在はまだ構想段階。ただ最終形としては、あらゆるジャンルの商品を『1回』の配送でできるようにしたい」と説明。

 また 中村氏は「現在のシェアリングデリバリーは、1つの新聞配達店が拠点となって、周辺にある20~25店舗ほどの飲食店を回るというもの。途中で日用品店や酒屋さんによって商品をピックアップするという仕組みについては、わりと近いうちに可能ではないか」と述べた。

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