全世界のモールに“自動翻訳”して出品してくれる越境EC「LISUTO!」

藤井涼 (編集部)2017年07月27日 11時00分
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 LISUTOは7月27日、製品情報を1言語で登録するだけで、AIによって各国の言語に自動翻訳して出品してくれる越境ECプラットフォーム「LISUTO!(リスト)2.0」を正式リリースした。現在は「Amazon」「楽天市場」「ebay」「ヤフオク!」「Yahoo!ショッピング」の5つのモールに対応しており、今後は世界各国の約90のマーケットプレイスに対応する予定だという。

LISUTO
越境ECプラットフォーム「LISUTO!(リスト)2.0」

 大手のECモールであっても、国によって独自にカテゴリを増やしたり、通貨や在庫の管理方法が異なったりするため、それらを統一することは難しいが、LISUTO!では同社が独自開発した出品エンジンにより、多言語(日本語、英語、中国語、ポルトガル語、ドイツ語、韓国語。今後はその他の言語にも対応)に自動変換して、商品を一度に出品してくれるという。

 また、これまでLISUTO!では商品を1つずつ追加する必要があったが、今回のバージョン2.0では、既存のECモールやECサイトで出品している商品データ(CSV)を取り込むだけで、自動で各国のモールの仕様に最適化して一括出品できるようになり、出品の手間を大幅に省けるようになった。在庫管理でも各ECサイトと連動しており、手作業ではなくAIによって自動で商品ごとにカテゴリや分類分け、商品カタログ作成などをしてくれるという。

LISUTO
LISUTO!のテクノロジ

 出品の流れとしては、EC事業者はLISUTO!に商品情報のCSVファイルをアップロードすると、その内容から財布やスマートフォンなど自動でカテゴリを分類。同社のもつカタログデータとマッチングし、商品スペックをLISUTO!上に登録してくれる。もし、カタログに情報がない商品の場合は、商品説明文などからAIがデータを抽出して登録するほか、自身で情報を追加することも可能。あとは、販売価格や保証書の内容、付属品の有無などの情報を入れて、出品したいモールに複数チェックを入れるだけで出品が完了する。

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カタログに登録されていない商品は説明文などからAIがデータを抽出

 ただし、現在は各モールのIDとパスワードは、EC事業者が自身で取得する必要がある。同社では今後、LISUTO!のIDを通じて各モールにログインできるようにしたいとしている。

日本とイスラエルの強みを掛け合わせる

 LISUTO代表取締役社長 CEOのニール・プラテック氏は、東京生まれのイスラエル人。一度はテルアビブに移り、ベンチャーキャピタルを設立して、イスラエルのBluetoothのパイオニア企業であるButterfly Communicationsなど複数のスタートアップに出資。また、過去にはテルアビブ大学で経済学の講師を務めたほか、イスラエル弁護士連合会の会員弁護士でもあるという。

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LISUTO代表取締役社長 CEOのニール・プラテック氏

 そんな同氏は、1999年に20年ぶりに日本に戻り、イーレディー株式会社を設立。10年にわたり、ブランドバッグや時計を国内外に向けて販売してきたという。その中で、手作業でしていた出品や商品管理の負担を減らすために、商品情報を選ぶだけで出品できる越境ECシステムを社内向けに開発。すると、同社の海外販売率が大幅に上がり、売上げも7倍以上に成長するなど大きな効果が得られたという。

 そこで、「このシステムを自社だけで使うのはもったいない」(プラテック氏)と考え、2015年に出品プラットフォームのLISUTO!を開発し、EC事業者向けに提供を開始。さらに、2017年1月にはイーレディーからの吸収分割によってLISUTO株式会社を立ち上げ、4月に2億円を、6~7月に2.5億円(累計4.5億円)を調達した。そして、利用企業からのフィードバックを反映したサービスが今回のLISUTO! 2.0だという。

 プラテック氏は「本来ならインターネットはグローバルなもののはずだが、ECはいまだにグローバル化していない」と指摘。AIや物流の仕組みを揃えることで、「世界中の売り手と買い手が言語に縛られることなく、欲しいものを売り買いできるマーケットを作りたい」と意気込む。

 また、同氏は日本とイスラエルの懸け橋になるような取り組みもしていきたいと話す。日本はベンチャー企業の母数がそもそも少ない上に国内志向が強いが、イスラエルはIT教育に積極的でベンチャーも多く、最初からグローバルを狙っている。一方で、イスラエルのベンチャーはトライ&エラーによって次々と新たな事業を生み出すが、計画性が欠けているところもあり、その点においては日本ならではの精密さや慎重さが求められると説明。双方の強みを掛け合わせることで、新たなイノベーションを起こせるのではないかと展望を語った。

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