そのCMで「人の心はどう動いているか」--VRと生体反応を使った評価システム

 映像制作会社のAOI Pro.は7月26日、視線や脳波などの生体反応を取得しながらVR空間で映像を視聴し、「映像を視聴する人の心がどう動いているか」を科学的に把握できる「VR Insight」を発表した。

 その第1弾として、テレビCMを視聴する人の解析に特化したサービス「VR ON AIR TEST(VR OAT)」のプロトタイプを披露した。

調査対象者が見ているCMと連動し、リアルタイムで心拍やリラックスしている状態かといったデータが見られる
調査対象者が見ているCMと連動し、リアルタイムで心拍やリラックスしている状態かといったデータが見られる

 AOI Pro.は50年以上にわたってテレビCMを中心とする映像を制作してきたものの、心理効果に対する科学的な検証はしてこなかったという。

 VR OATは、VRで映像を視聴しながら、生体反応(視線、脳波、心電心拍など)をリアルタイムで取得する。さらに視聴前後のアンケートデータと組み合わせることでリサーチを強化するという映像評価のしくみだ。

実際にCMを視聴しているところ
実際にCMを視聴しているところ

 生体反応は具体的にどう役立つのか。「視線だけでは感情はわからない。真の状態を測るためのもの。ただし、取得したデータは、なにが有用なのかをまだこれから探る必要がある。たとえばコントローラに圧力がわかるセンサを搭載すれば、“ハッ”としたときに握るのではないかと考えたが、そうでもなかった。それよりも発汗がわかるセンサのほうがいい、といったことがわかり始めている」(AOI Pro. 体験設計部長の吉澤貴幸氏)。

手首に心電心拍計を巻く。コントローラとつながっている
手首に心電心拍計を巻く。コントローラとつながっている
脳波を測るセンサは頭に巻く
脳波を測るセンサは頭に巻く

 VRを高精度なシミュレーターとする考え方は、「バーチャルリアリティとは、みかけは現実ではないが、効果としてあるいは実質的には、現実である」という日本バーチャルリアリティ学会の定義に基づくもの。またVRを活用する優位性は、「通常のディスプレイと据え置きカメラを組み合わせる場合より、はるかに高精度な視線トラッキングができること」「VR空間での没入状態では、脳波などのセンシングデータを取得する際に外的なノイズの影響を受けにくいこと」だとしている。

今後は本体と脳波計一体化する方向で進めているという
今後は本体と脳波計を一体化する方向で進めているという

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