「LIFULL HOME’S空き家バンク」を開始--“異常事態13.5%”の空き家率改善に挑む

 LIFULLは7月19日、全国の空き家、空き地の情報を一元管理するプラットフォーム「LIFULL HOME’S空き家バンク」を開始すると発表した。国土交通省のモデル事業として実施する。同日に自治体からの参加登録受け付けを開始し、9月にウェブサイトのベータ版をリリースする予定だ。


左から、一般社団法人全国空き家バンク推進機構理事長の樋渡啓祐氏、LIFULL代表取締役社長の井上高志氏、浜松市長の鈴木康友氏

 LIFULL HOME’S空き家バンクは、空き家、空き地と、その利活用を希望するユーザーをマッチングする情報プラットフォーム。国土交通省が主体となって推進する「全国版空き地・空き家バンクの構築運営に関するモデル事業」として実施するもので、一般社団法人全国空き家バンク推進機構と提携し、普及促進を図る。


LIFULL代表取締役社長の井上高志氏

 日本の空き家件数は、2013年時点で820万戸を数え、2033年には2167万戸まで増加する見通し。「諸外国の空き家率を見ても、仏国、独国で4~6%程度、人口の多い米国でも10%程度で、日本の13.5%という数字は異常事態」とLIFULL代表取締役社長の井上高志氏は、現状を説明する。

 現在、市区町村が独自に空き家・空き地バンクを実施しているが、情報が点在している上、フォーマットがバラバラで比較検討が困難な状態。全国統一したフォーマットで情報を一元管理することで、利活用に結びつける。

 全国の自治体に空き家バンクシステムを無償で提供し、地方自治体は空き家バンクに情報を登録。空き家利活用希望者は、空き家情報を検索、検討し、問い合わせができる仕組み。

 LIFULLでは、2018年に開始予定の民泊事業を手がける子会社楽天LIFULL STAYで、空き家を民泊施設として活用していく考えを示しているほか、物件の投資、融資事業、リノベーションなど、地方創生への取り組みから派生したビジネスで収益をあげる。


浜松市長の鈴木康友氏

 LIFULL HOME’S空き家バンクのスタートに合わせ、1週間で90の自治体に声をかけたところ、発表当日までに77の自治体(53市、14町、10村)から参加表明を得たとのこと。いち早く名乗りを上げた浜松市長の鈴木康友氏は「浜松市でも空き家問題は深刻になっており、4月には今後5年間の空き家対策計画を策定した。しかし個別の自治体の取り組みには限界がある。空き家対策を持続的に取り組むにはビジネスとして接していかなければいけない。全国一律の共通プラットフォームを作ることで、希望的観測を含め10年以内に空き家を半分くらいに減らしていきたい」と意気込みを話した。


一般社団法人全国空き家バンク推進機構理事長の樋渡啓祐氏

 LIFULLと連携する全国空き家バンク推進機構は、前武雄市長の樋渡啓祐氏が理事長を務めるほか、理事に元横浜市長の中田宏氏、東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻教授の浅見泰司氏などが名を連ねる。樋渡氏は「行政経験者や専門家などが集まりオール空き家対策チームとして取り組んでいく。特に注力しているのは小中学校など公的な場所が空き地に転じてしまっているところ。これらの活用促進を視野にいれつつ、還元する仕組みを作るのもミッションだと思っている」と位置づけを話した。

 LIFULLでは、全国空き家バンク推進機構と提携し、不動産、住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」で培った情報プラットフォーム構築と運営ノウハウを持ち寄ることで、空き家、空き地の有効活用を加速していく。

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