サイバーエージェントの「AI Messenger」、FAQ応答ロジックを刷新

 サイバーエージェントのアドテクノロジ分野におけるサービスを開発するアドテクスタジオは7月10日、人工知能(AI)を活用したチャットプラットフォーム「AI Messenger」において、FAQ応答ロジックを刷新したと発表した。試験導入では従来よりも約10%精度が向上したという。

 AI Messengerは、アドテクスタジオが2016年7月に設立した連結子会社AIメッセンジャーが提供するチャットプラットフォーム。独自の会話エンジンを基に開発されており、ユーザーが入力した自然文から条件を自動で抽出。FAQデータベースリストから該当する回答を自動応答できる。企業は、AI Messengerを活用することで、ユーザー問い合わせの回答スピードの短縮化や効率化が図れるとしている。


 FAQ応答はチャットボットがユーザーからの質問を認識し、あらかじめ用意されたQ&Aの中から適切な回答をユーザーへ返す仕組みだが、質問に対し、意味が同じであっても異なる語彙や表現に対応できないという問題があったという。適切な回答を返すために、AIがこれらの違いを認識できるようにロジックを刷新したという。

 今回のFAQ応答ロジックの刷新は、機械学習の専門家である東京大学の佐藤一誠氏との協働により実現した。具体的には、2つの文から意味的な近さや、表層的な見た目の近さなどをさまざまな尺度で数値化し、それら数十種類の数値を元に最終的に2つの文がどのくらい似ているかを推測するモデルを構築したという。

 これまでも2つの文の意味的な近さを数値化して用いていたが、今回の刷新では、それをさらに強化し、質問文の中でより重要な語に注目することが可能になったという。これにより、クライアント企業のドメイン内において、AIが質問の意味を認識する上で「重要な語」と「重要でない語」を判別し、より重要と判別される語に注目した回答が可能になったとのこと。

 たとえば、金融商品を扱う企業では、ユーザーから「ウェブで過去の口座残高を見るにはどうしたらいいか」と質問された際、「口座残高」は金融商品を扱う企業において一般的な単語であり、AIは「ウェブ」や「過去」という語をより質問の意図を認識する上で重要と判断。これらの語に注目することで、複数ある口座残高を確認する方法の中から、「ウェブ」で「過去」の口座残高を確認する方法を優先して回答できるようになったという。

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