YKK APは6月28日、透明有機ELを活用し、換気を自動調整したり、遠くに離れた人と対話できたりする「未来窓」のプロトタイプ「Window with Intelligence」を公開した。スマートホームへの新提案として、3年後の実用化を目指す。
Window with Intelligenceは、2016年4月に発足した未来の窓を考えて形にする「未来窓」プロジェクトの一環として公開したもの。7月1日から、東京都渋谷区にある「YKK APショールーム新宿」(東京都渋谷区代々木2-1-5 JR南新宿ビル8階)で一般公開する。
両面強化ガラスの真ん中に透明有機ELパネルを挟み込んだ3層構造。タッチセンサをつけることで、文字や絵が描けるほか、エアコンや照明などの家電と連携した操作ができるとのこと。AIスピーカの音声アシストも想定しており、音声操作による窓の開閉も可能だ。
窓を通じて、離れた家族や友人と会話ができる「Video Chat」機能や窓が部屋の様子を定期的に撮影して保存する「Life Log」機能なども装備。スマートフォンとペアリングすれば、スマホ内の画像などを窓に映し出せる「Mirroring」機能も備える。
プロトタイプは、高さ1596mm×横1062mmで、有機ELパネルのサイズは55インチ相当。フレームには高性能樹脂窓としてすでに販売している「APW430」の形材を使用する。
YKK AP 経営企画室事業開発部長の東克紀氏は「ディスプレイでいいのではという意見もあるが、YKK APは窓を考える会社なので、ここを起点に考えた。窓は家の外と中をつなげる役割を果たす。そのため外気から室内の温度や湿度を調整するなどの使い方も考えられる。ディスプレイよりも周りを見ていく部分で窓に優位性がある」とWindow with Intelligenceの位置づけを話した。
有機ELパネルの採用については「液晶はバックライトが必要のため、スイッチオフしたときに外の景色が見えない。また有機ELは低消費電力のため、電気代も抑えられる。今後はパネルの供給次第でサイズ展開を検討していきたい」と説明した。
「未来窓」プロジェクトは2016年に、クリエイティブラボ「PARTY」がプロデュースしたコンセプトモデル「M.W.(MODULE WINDOW)」を発表しており、Window with Intelligenceは、より具現化に近づけた進化バージョン。開発にはPARTYのほか、ゼンリンデータコムの社内ベンチャーでIoTハードウェアの企画開発製造などを手掛けるWill Smartが協力している。
販売に向けては「法人向けからスタートし、一般向けはその後展開する形になると思う。価格は同サイズのテレビを考慮し、100万円を超えない形を想定している」(東氏)とした。
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