ワシントン大学は、通販などにおける商品配送作業で排出される温室効果ガスの量を研究し、ドローンとトラックのどちらの環境負荷が小さいか比べた調査レポートを発表した。ドローン配送のカーボンフットプリントは、条件次第でトラック配送より小さくなるという。
カーボンフットプリントとは、特定の製品やサービスを提供する行為が地球温暖化にどの程度影響するかを示す指標。対象となる製品やサービスを提供するのに必要な全過程で排出される温室効果ガスの量を、二酸化炭素(CO2)の量に換算して数値化する。
この研究によると、ドローン配送は、飛行距離が比較的短く、配送先の数が少ないと、トラック配送に比べCO2の排出量が少なくなるそうだ。また、荷物の重量が排出量を大きく左右し、軽ければかなり有利だとした。
一方のトラック配送は、大きくて重い物から小さな軽い物まで多彩な荷物をまとめて輸送できることから、1度の配送で多くの場所に商品を届けたり、輸送ルートが長かったりする場合、ドローン配送よりカーボンフットプリントが小さくなるという。
ワシントン大学助教授のAnne Goodchild氏は、飛行という行為は多くのエネルギーを必要とするため、「当初、ドローンがCO2排出量でトラックにかなうわけなどないと思っていた」と述べた。「結果的に、条件によってはドローンのエネルギー効率がよくなると知って驚いた。トラックは重い荷物に適しているが、相当軽い荷物はドローンがとても優れている」(同氏)。
この研究は、カリフォルニア州ロサンゼルスでドローンとトラックを使った配送を実施するとして、CO2排出量を計算。計算モデルでは、330個のサービス地域を設け、各地域に50から500の配送先を設定してシミュレーションした。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」