Candeeは6月7日、ライブ配信中に紹介された商品を購入できるソーシャルECアプリ「Live Shop!(ライブショップ)」を公開した。会社設立から2年間で1300本以上の動画を配信し、中でもライブ動画は500本以上を手がけてきた同社の企画制作や配信ノウハウ、インフルエンサーのネットワークなどを生かす。また、ECから決済、物流までを一気通貫で提供するという。
Live Shop! は、モデルやインスタグラマーといった出演者が、ライブ配信で流行のファッションやメイクなどを紹介し、気になったアイテムを視聴者がその場で購入できるアプリ。配信中に視聴者がコメントし、出演者と双方向にコミュニケーションがとれる、モバイル時代ならではの買い物体験ができる。
配信者が自宅などで自撮りをするといった従来のライブ動画に多い配信スタイルではなく、同社が用意した専用スタジオで、プロのスタッフがカメラワークやスイッチングなどを担当し、個人では難しいハイクオリティな番組を配信することにこだわったと、Candee代表取締役副社長COOの新井拓郎氏は話す。
「スマートフォンゲームも当初は、素人がシンプルな操作のゲームを作ってヒットし、その後、大手のゲーム会社がスマホに最適化したタイトルを開発していまのマーケットになっている。動画にもこの流れは必ずくると思っていて、最終的には素人よりもプロのスマホ動画が主流になる」(新井氏)。
視聴者はライブ配信中にしか商品を買えないことも特徴だ。出演者は放送時間の前などに自身のSNSでライブ配信を告知。それを見たフォロワーは投稿されたURLからLive Shop!のアプリへと遷移する。ライブ配信中は、商品の在庫数がリアルタイムに表示されるため、視聴者は“早い者勝ち”で商品を購入する。また、アンケートや抽選販売などの機能を番組に盛り込むことで、ライブ配信ならではのリアルタイムな購買を楽しめるようにしている。
Candee執行役員の椙原誠氏は、「視聴者は明確に買いたい商品があって動画を見るというよりも、憧れの人が紹介する商品がほしい。出演者に質問コメントに答えてもらったり、実際に商品を買ってメッセージカードをもらったりすることでプレミアム感が上がる」と説明する。事前の試験提供では、洋服や靴よりも、サイズを問わないコスメやアクセサリーなどが人気だったという。売れた商品の価格帯は3000~5000円が中心とのこと。
Live Shop!では、大きく3つのチャンネルで展開する。インフルエンサーなどの出演者がお気に入りの商品を紹介する「個人チャンネル」、ブランドやメディア独自の世界観を表現できる「ブランドチャンネル」と「メディアチャンネル」だ。当初は、「ゆうこすショップちゃんねる(菅本裕子)」「まつきchannel(まつきりな)」「つくえチャンネル(津久江麻由)」「LalaメイクCh(Lala)」などの個人チャンネルを開設。ブランドチャンネルは「ECLIN」「HANI LOOK」、メディアチャンネルは「la farfa」「Tavision」などを開設した。
6月下旬から、アソビシステム所属タレントの個人チャンネルを配信するほか、クイズやオークションなどの機能や、新たな決済手段も追加する予定。また、現在は同社が用意した商品ラインアップの中から、出演者に紹介したい商品を選んでもらう形にしているが、将来的にはプライベートブランドを自社開発するなど、Live Shop!でしか手に入らない商品を増やしていきたいという。
これまで、「LINE LIVE」や「AbemaTV」など数多くのスマホ動画を手がけてきた同社が目指すのは、「テレビの再発明」だと新井氏は話す。「動画元年と何度も言われながら、YouTubeやニコニコ動画、Netflixなどの動画サービスが生まれてきたが、本当の意味で動画元年がきた感じがしていない。それは、スマホ時代のコンテンツではないから。より、スマホというデバイスのためだけに動画を作り続ける必要がある」(同氏)。
リアルタイム性のある“ライブ”、そして一方通行ではない“コミュニケーション”という2つのキーワードを軸に、スマホに特化したソーシャルビデオプラットフォームを構築したい考えで、その第1弾となるのがLive Shop!だという。今後はECを皮切りに、ニュースやスポーツ、バラエティなどあらゆるジャンルにサービスの幅を広げていきたいと、Candee代表取締役社長CEOの古岸和樹氏は展望を語った。
「ライブECはあくまでも要素の1つ。2016年はソフトに注力していたが、ようやくプロダクトも作れる体制になった。スマホならではの報道や音楽、ゲームなどを提供していく。(Live Shop!によって)スタートダッシュをして次につなげていきたい」(古岸氏)。
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