フェイスブックジャパンは5月17日、ビジネス用SNS「Workplace」を日本向けに提供開始した。Facebookで使われているコミュニケーションプラットフォームを、企業内のコミュニケーションに利用するツールとなる。
Workplaceは、一般的なFacebookとは独立した、企業の従業員とシームレスにつながれるインターネット上の“仕事場”だ。Workplace専用のメッセンジャーによるテキストチャット、音声通話、ビデオ通話などが可能なほか、通常のFacebookと同じ使い方でアンケートの収集、レポートなどのドキュメントを投稿できる。画像やPDFファイルなどの共有も可能だ。なお、ニュースフィードには、友人や家族の投稿、アプリ上のアクティビティ、広告などは表示されない。
ドメインもFacebookと異なるWorkplace専用のものを用意。投稿されたデータはFacebook側では収集せずに企業が保有する形になるほか、SSOやIDPと統合し、社内システムなどで設定されているパスワードをログイン情報として利用できる。また、「SOC2」などのセキュリティ基準に準拠。管理画面からは、ユーザーのアクティビティログをもとに働き方やWorkplaceの使われ方を分析できるほか、CSVファイルのインポートによるユーザー登録などにも対応し、スムーズな導入を実現する。
基本的にはクローズドなSNSだが、他の企業とやり取りをすることも可能。企業をまたいでグループを作成し、任意のメンバーを追加することでコミュニケーションが可能となる。また、チャットボット機能も搭載しており、例えば企業側で経費精算のボットを作成した場合、領収書を画像で送信し、必要な情報をチャットで送信するだけで申請が可能となる。マネージャー側で承認する場合は「承認」と打ち込むだけだ。
米Facebook SMB/Workplace APAC責任者のナクル・パテル氏は、Workplaceが支持されている4つの理由について、Facebookが全世界で19億人、日本で2700万人(月間アクティブユーザー数)に利用されているサービスであり、それと同じインターフェースで利用できることに加え、モバイルファーストであること、これまでのワークフローを置き換えるサービスであること、プライベートと仕事が完全に分けられており、セキュリティの点でも独立していることを挙げた。また、「エンタープライズ向けのソフトだが、導入すると魔法のような変革をもたらすことになる。多くの導入企業のリーダーが、『マインドセットの変革』と言っている」と述べた。
グローバルでは1万4000社で利用されており、スターバックスでは北米の従業員をWorkplaceですべてつなげた。2017年4月に就任した新CEOのケビン・ジョンソン氏のスピーチをWorkplace上でライブ配信し、従業員とビジョンを共有したほか、スタッフが考案したオリジナルメニューがWorkplaceを伝って社内で拡散し、正式に新メニューとして採用されている。全ての従業員からフィードバックをリアルタイムで得ることができ、同社の株主総会でWorkplace導入について言及したほどお気に入りだという。このほか、シンガポール政府もWorkplaceを導入。公務員14万人をネットワーキング化している。
Workplaceには「Standard」と「Premium」の2種類がある。Standardでは、メッセンジャーや音声・ビデオ通話、グループの作成など、一般的なFacebookと同様の機能が無料で利用できる。また、Premium版では企業で必要となる管理機能を提供。1000人までの組織では1人当たり月額3ドル、1万人までの組織では月額2ドル、それ以上の組織では月額1ドルとなる。
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