主力の国内通信事業の業績は、売上高が前年度比1.6%増の3兆1938億円、利益が4.5%増の7196億円と、安定した業績を記録。市場自体の成熟に加え、ワイモバイルの利用者数拡大でARPU(1ユーザーあたりの月間売上高)は減少傾向にあるが、光ブロードバンドサービスの拡大などが伸びをけん引しているようだ。業績の好調に加え設備投資の減少もあり、国内通信事業から生み出されるフリーキャッシュフローは、前年度比39.7%増の1兆2090億円にまで達している。
また2016年に買収した英国の半導体設計大手ARMの業績は、売上高が1129億円、利益が129億円となっている。しかし、孫氏が見ているのは現在の業績ではなく、あくまで将来的なARMベースのチップ数の伸びであるようだ。
ARMベースのチップ出荷数は前年度比17%増の177億に達しているが、今後はIoTの広まりに加え、従来ARMが苦手としてきたサーバ向けにもチップの採用が進むと見られていることから、累計の出荷数は2017年度に1000億、さらに2021年には2000億に達するとの予想を立てているという。今後の需要増に合わせて従業員を増やし、研究開発を加速したいと孫氏は話す。
最後に孫氏は、ソフトバンクの企業価値について言及。孫氏は2014年11月の決算説明会で、ソフトバンク(現在のソフトバンクグループ)を、イソップ童話「ガチョウと黄金の卵」に登場する金の卵を産むガチョウに例えて企業価値の高さを訴えていたが、今回の決算説明会でも同社をガチョウに例え、企業価値について説明した。
孫氏によると、ソフトバンクグループはこの約2年のうちに、ARMの買収などで2兆円の純有利子負債を抱えたが、それによってグループの企業価値を18兆円から25兆円へと7兆円増やし、企業価値から負債を引いた株主価値は17兆円と、5兆円増やした。つまり従来のガチョウ(ソフトバンクグループ)は、借金というエサを食べて株主価値という金の卵を17兆円にまで増やしてきたが、孫氏は「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」によって、このガチョウをさらに進化させるとしている。
ファンドの設立によって、100億円を超える投資は基本的にソフトバンク自身ではなくファンドからの出資となることから、ソフトバンクの負債を増やすことなく、チャンスを生かした投資ができるようになるとのこと。自社の負担を減らしながらも、より大きなスケールでの投資による成長が期待できることから、金の卵を産むガチョウは「空を飛べるようになる」ほど大きなスケールになると孫氏は話した。
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