KDDI、「スマートドローン」で完全自律飛行--食品を届ける実験に成功

 KDDIは5月9日、日本初の「4G LTE運航管理システム」を用いた「スマートドローン」によるLTE完全自律飛行実験を新潟県長岡市山古志で実施したと発表した。

 4G LTE運航管理システムは、LTEネットワークを活用することで、ウェブ上から接続されたドローンの飛行状況を制御できるシステム。現状のドローンの飛行は、現場オペレーターが操作する送信機の電波によって制御するが、同運航管理システムを利用することで、ウェブから直接ドローン本体を制御できるようになるという。


 飛行時に取得した動画像のメディアデータは、ダイレクトにサーバへ送信され、ウェブ上で閲覧可能。さらに、各機体・オペレーター(飛行者)の情報管理や、それぞれの飛行に関するフライトログ情報も取得し、ドローン事業運用に必要な情報を包括的に提供するという。


 今回の実証実験は、災害時や高齢化といった地域の抱える課題に対し、ドローンソリューションによる解決を実証する実験の第1弾。山古志支所から約2km離れた住民宅に食品を届ける実験を実施しており、スタートから着地まで約8分で食品を届けることができたという。


 新潟県長岡市山古志は、2007年に発生した新潟県中越沖地震時を経験し、今後の災害時の支援や被害状況の把握など、ドローンでの対策を従来より検討。今回スマートドローンを用いたLTE完全自律飛行に賛同し、同実証実験の実施に至ったという。

 実証実験で利用した4G LTE運航管理システムは、LTE対応ドローンへの飛行ルートを指示するとともに、飛行中の位置、高度、速度、電波状況、カメラ映像などの飛行状況をLTE経由で監視。離陸から着陸までのすべての操作をLTEで制御できるという特徴がある。今回の実験では、これまでのドローン向け通信では実現できなかった、長距離完全自律飛行ができることを実証した。


 KDDIでは今後、LTEネットワークに接続するドローン機体、3次元地図、運行管理、クラウドで構成された「スマートドローンプラットフォーム」を活用して、地域課題解決やインフラ点検など、さまざまなソリューション提供に向けた実証実験を実施していくという。

 モバイル通信ネットワークを利用するスマートドローン機体や、3次元地図を活用したドローン同士または、ドローンの建物への衝突を防ぐ運航管理システム、ドローンが取得したデータの蓄積・分析などのクラウドサービスをまとめたトータルソリューションの提供を目指しているとのこと。

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