ニューヨークのブルックリンを拠点とする新興企業Mediachain Labsは、Spotifyに買収されたことを発表した。
コンテンツがウェブで広く配信されるようになったが、制作者の承認なしに行われることも多く、再コーディングされると署名も消えてしまう。そんな時代に、Mediachain Labsはコンテンツを制作者の識別情報と密接に結びつけ、帰属情報の確認や分析、支払いの手段を提供することを使命としてきた。
Denis Nazarov氏とJesse Walden氏が3年前に創設した同社は、「InterPlanetary File System」(IPFS)をベースに構築された分散型オープンメディアライブラリなど、多くの技術を開発してきた。このライブラリでは、署名が暗号化され、Bitcoinブロックチェーンでタイムスタンプを押された状態で、IPFSに格納されている創作物について、コンテンツ制作者が権利を主張できる。
Mediachain Labsは2016年10月に、自社のオープンメディアライブラリをベースにした帰属情報エンジンもリリースした。このエンジンは、帰属情報が適切に付与された画像を検索でき、制作者はデジタルコンテンツの権利を守れる。
Mediachain Labsは、コンテンツ制作者の貢献に報いるために、独自の暗号通貨「CCCoin」のプロトタイプも開発した。
Mediachain Labsチームは、ブログで次のように述べている。「創業以来、Mediachain Labsの使命は、クリエーターのためにより密接につながった世界を構築することだった。Bitcoinを支える革命的技術に刺激を受け、どうすれば、次世代のブロックチェーンとオープンなP2Pプロトコルによって、クリエーターがオーディエンスにもっとうまく作品を届け、生計を立てられるようにできるかを探り始めた」
Mediachain Labsチームは今後、ニューヨークにあるSpotifyのオフィスに加わる一方で、技術をオープンソースソフトウェアコミュニティーに引き渡す。すべてのソースコードとドキュメンテーションをオープンソース化して、オープンな形でライセンス供与していく。
両社は協力して、「今よりも公正で透明性があり、制作者と権利保有者が報いられる音楽業界」を築くという。
Spotifyなどの音楽ストリーミングサービスにとっての課題は、適切に楽曲のライセンスを得て制作者に支払うために必要な、あらゆるデータを収集することだった。
楽曲の権利情報に関する一元化されたデータベースを構築する代わりに、SpotifyはMediachain Labsの新しい人材を活用して、Spotifyが提供する楽曲とアーティストや楽曲の権利保有者を結びつける分散型データベースを構築するとみられる。
Mediachain Labsが説明しているように、同社は楽曲の権利問題に関して、データレイヤの共有というビジョンを抱いている。データレイヤの共有は、「帰属問題を解決し、クリエーターと権利保有者に力を与え、インターネット上の創作活動にとって、より効率的で持続可能な創造モデルをオンラインで実現するカギ」だという。
Mediachain Labsは次のように述べている。「こうしたビジョンを共有する企業に加わるには絶好の次期だ。どちらかと言うと生まれて間もないブロックチェーンのコミュニティーは、主流の消費者やクリエーター、また相互のやりとりに利用するプラットフォームとの架け橋をほとんど持っていない」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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