面積そのままで生産量が9倍に--LG白物工場が実践する効率化

 LGエレクトロニクスが韓国・ 昌原(チャンウォン)市に構えるチャンウォン工場は、白物家電の製造拠点の1つだ。冷蔵庫や調理家電などを手がける第一工場と、洗濯機、乾燥機、エアコン、LG stylerなどの製造を担う第二工場から成り、研究職と生産職の合わせて約1万人が勤務している。年間450万台を生産する白物工場にはどんな効率化の秘密が隠されているのか、6つの数字から紹介する。


チャンウォン工場

50万台から450万台へ。面積そのままで生産量が“9倍”に

 チャンウォン工場の操業開始は1987年。当初は年間50万台の生産規模だったが、2017年現在は年間450万台にまで、生産能力を拡大した。これだけ聞くと、単に工場の面積を拡大し、ラインを増やしただろうと考えてしまうかもしれないが、チャンウォン工場の床面積は操業開始当時のまま。時間、コスト、スペースの効率化によって、生産量9倍を実現したという。

部品の運び込みから搬出まで“30分”で完結する

 面積が操業当時のままであるチャンウォン工場の作業スペースは限られている。そこでLGが実践しているのが、搬入から搬出までを30分で行うというルールだ。これは30分間で製造できる部材のみを工場内に運び込み、作業するというもの。そのため工場内には常に、その時に作業する部材のみがあり、余計なものがない状態になる。

 また、通路など狭い場所での行き来をスムーズにするため、工場内の地下を通って移動するエレベータやモノを運ぶ無人ロボットなども導入されているという。

フル稼働時は“10秒に1台”までラインを高速化

 現在、PM2.5や黄砂などの大気汚染が発生し、特に乾燥機の需要が急増しているという韓国。チャンウォン工場でも乾燥機はフル稼働で生産されている。通常時、1工程にかかる1台あたりの時間は13秒に設定しているが、フル稼働時では10秒へと高速化して対応しているとのこと。乾燥機の生産ラインは、10秒のフル稼働状態だった。

反省会は“1日2回”、ミスや不良品は見える場所で各自が確認

 工場内には、製造過程でミスがあった不良品を並べておくスペースが設けられている。見える場所に置くことで、全員がどんなミスが生じたかを共有できる。反省会は朝夕1日2回を開催。加えて1週間に1度は、全体による反省会を開くことで、製造ミスを少なくし、ロスを抑えた製造ができるようにしている。

製品チェックは“10台に1台”、無作為に選んで検査室へ

 製造中の製品はライン上から無作為に選んで検査することで、品質を確認している。無作為に10台に1台を選んで検査室に運びチェックする。ここで何かミスなどが見つかれば、コンテナごと再チェックするという。LGでは洗濯機に10年の長期保証を提供しているが、これは完璧な検査環境を設けているからこそ実現できるサービスだという。

“21回”の改良が作業効率を向上する

 LGの各工場には「改善班」と呼ばれるスタッフが存在する。各ラインに2~3人ずつ配置しており、設備や動線などを工夫することで、より働きやすい環境を提供できるようにしている。

 例えば、洗濯機の背面に取り付ける板を以前は平らな状態のまま低い位置において作業していたが、それでは、しゃがむ、板を1枚取り上げる、縦位置に直して装着する、といくつもの工程が発生していた。そこで改善班は板を1枚取り上げ、縦位置に変更し、作業者の手元近くまで持っていく独自の機械を開発。作業をスムーズに進められるよう、常に改善が行われている。なお、この機械が現在の形になるまで重ねた改善は21回にのぼるとのことだ。

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