「IoT化は必須」--未知の家電「LG sytler」を6年で人気商品にしたLGの白物戦略 - (page 2)

加納恵 (編集部)2017年04月27日 08時30分

LGの家電はIoT化することで100%の力が発揮できる

――スマホアプリ「LG SmartThinQ」の導入もユーザーの声から生まれたのでしょうか。

 それは少し違っていて、Wi-Fiやスマホアプリといったネット連動機能は、LG stylerにかぎらずすべての白物家電へ導入を進めています。LGでは、今後の家電にはIoT化が必須条件だと思っていて、Wi-Fi搭載はデフォルトという位置付けです。

 韓国で販売しているLG stylerにはWi-Fiによる遠隔操作機能を導入していて、スマートフォンから自宅のLG sylerを操作して、外出中に乾燥などを終えておく使い方ができます。LG stylerは使用時に若干振動が発生しますので、集合住宅での夜間の使用は避けたいという人や、寝室に置いていて寝る時に振動が気になるといった人たちに使っていただいているようです。

 スマホアプリでは、シルクや革製品といったケアをアプリから指定して操作できる「エアフレッシュコース」を取り入れていますが、どちらも自宅でのケアが難しい素材だけに、簡単さが受け入れられているようです。また、LG stylerは、操作パネルが非常にシンプルで可動していないときは表示が消えているので、アプリをマニュアル代わりにしている人も多いです。

 家電のIoT化を今後も継続し、将来的にはAmazonの「Alexa」のように音声認識を使ってLG sylterが操作できるようになるかもしれません。そうした今までにないライフスタイルを提案していきたいと考えています。LG stylerにかぎらず、LGの白物家電はIoT化を続けることによって100%の力が発揮できるようになると思っています。

 家電のIoT化は、多くの進化と利便性をもたらしますが、課題は各国、各家庭によるネット環境の違いです。韓国はネット環境がかなり整備されていますが、ここまで普及が進んでいない地域もありますし、米国のように敷地面積が広い家では、Wi-Fiが届かないこともありえます。ネット環境が均一でない中で、家電のIoT化をどう普及させていくかを、今後研究課題として取り組んでいきます。


イム氏は、自宅とオフィスでLG stylerを使用しているという

「日本にないものを紹介する」という付加価値で日本市場を戦う

――この春から日本への本格導入が始まりました。発売から約6年、このタイミングで日本導入を決めた理由は。

 実は初代機の段階で日本市場への導入を検討しましたが、「大きすぎて日本市場には合わない」という市場調査の結果を受け、導入を見送っていました。そんなときに、CESでLG stylerを見た蔦屋家電の方に「ぜひ取り扱いたい」と言っていただき、今回の導入に結びつきました。

 約600mmあった横幅も現行機は445mmへとスリム化していますし、日本のニーズを満たす製品を導入できたと思っています。

――日本の家電市場は、国産メーカーが非常に強い分野です。LGとしての戦略を教えてください。

 家電において日本の国内ブランドが強いことはもちろんわかっていますし、LGの参入が簡単でないことも把握しています。その中で私たちは「日本にないものを紹介する」という付加価値を与えることでLGブランドを広げていきたいと考えています。

 その皮切りとして導入したのがLG stylerですし、今後は2つの洗濯槽を持った「Twin Wash」なども導入していきたい。日本にないものを紹介することで新しいブランドとしての認知を獲得していきます。また、新カテゴリの商品を導入することで、その市場を先行して独占し、市場を大きくしていくことを狙っています。


日本では未発売の2つの洗濯槽を持った「Twin Wash」。白地の洋服と色柄ものなどを分けて同時に洗うことができる

 今までにない新カテゴリの商品を販売することはとても大変ですが、LGには過去6年間、試行錯誤を繰り返しながらLG stylerを市場に根付かせた経験があります。このノウハウは日本市場にも生かせると思っています。

 LG stylerに関して言えば、韓国よりも日本の方がより必要な製品なのかもしれません。私自身、日本への出張が多いのですが、焼き鳥を食べると食べ物や煙の匂いがスーツについてしまいます。そんなときにLG stylerがあればいいなと思います。このような日本の生活にもLG stylerは欠かせない家電になってくるはずです。

――BtoBの展開についても韓国のノウハウを導入していきますか。

 韓国では、ホテル、高級家具店、インテリアショップなど、さまざま企業とコラボレーションしています。そのほかにも企業内の福利厚生の1つとして会社内に設置したり、ギフト需要も考えたり、とできるだけ多くのビジネスモデルを展開できるようにしています。制限を持たせないことがポイントです。

 日本のBtoB市場はもっと明快で、蔦屋家電を通して展開していきます。BtoCについては、韓国同様に家電量販店に展開することで、一般家庭でも使えるイメージの定着を狙っていきます。

――LG stylerは現在唯一無二の存在ですが、将来的には競合が出て来ることもありえると思います。そこに対してアドバンテージは。

 私たちは競合製品の登場は脅威ではなくて、むしろウェルカムだと思っています。私たちが狙うのは市場自体の拡大で、その意味では唯一の製品である必要性はありません。

 例えば日本市場で必需品となるのは所有率が10%を超えなければならないと思いますが、1社だけでは何年もかかってしまう。競合が出てきて類似製品が増えれば、普及にかかる年数も短縮されます。LG stylerは、必需品になれる可能性を持っている家電だと思っているので、競合の心配をすることよりも、よりよい市場を拡大することに可能性を見出しています。

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