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「IoT化は必須」--未知の家電「LG sytler」を6年で人気商品にしたLGの白物戦略

加納恵 (編集部)2017年04月27日 08時30分
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 2011年の初代機発売から約6年、LG stylerが2017年1月に日本に導入された。当初は蔦屋家電のみの販売だったが、3月には家電量販店でも取り扱いを開始。韓国、米国、独国などに続き、10カ国目の導入国になった。

 グローバルの展開だけを見れば、順調に売り上げを伸ばしているように見えるが、サイズや機能、さらにはユーザーに向けたコミュニケーションの仕方など、LG stylerは多くの改善、改良を重ねている。「何ができるのかわからない家電」を「生活に欠かせない必需品」にするまで、LGエレクトロニクスはどんな試行錯誤を繰り返してきたのか。LGエレクトロニクス H&A事業本部 アプライアンスB2B部門 部長のイム・サンム氏に聞いた。


LGエレクトロニクスH&A事業本部 アプライアンスB2B部門 部長のイム・サンム氏

労力は約10倍、LG stylerを市場に根付かせるまで

――LG stylerは、ロッカー型の本体にスーツやパンツ、コートなどを入れておくだけで、衣類のゴミやホコリ、花粉を排除し、シワとりなどをできるという全く新しいコンセプトの家電ですが、開発のきっかけは。

 LGエレクトロニクスの役員が海外出張の際、翌朝もプレスのきいたスーツを着たいと家族に相談したところ、バスルームにお湯をはり、そのスチームでスーツのシワを伸ばすようにアドバイスをうけたことが商品開発のきっかけです。

 この時は役員のアイデアが元になっていますが、LG内には、新製品のアイデアを社内で募集するシステムがあり、そこから商品化したものも数多く存在します。

――発売当初の反応はどうでしたか。

 今までの市場にはない新しいコンセプトの商品だったので、通常の商品マーケティングに比べ、10倍の労力が必要でした(笑)。中でも特に難しかったのはユーザーとのコミュニケーションです。

 LG stylerは、高所得者層向けのプレミアム家電としてスタートしました。ラグジュアリー層が好む俳優をキャラクターに起用し、製品に対する“憧れ”を高めることで市場への浸透を狙っていたのです。しかし、プレミアムであるがために自分たちには必要がないという認識を抱く人が多く存在しました。

 当時は横幅サイズも600mmと今よりもさらに大きく、決して安くはない価格設定でしたが、スーツや制服など、毎日着るけれど自宅では洗えないものを清潔に保てることがLG stylerの特徴です。この製品特徴を見つめ直し、新たなターゲットを、共働きの忙しい家庭、制服やスーツを普段から着用している世帯へと改めました。ここにスポットをあてたコミュニケーション活動をすることで、底辺を拡大し、ユーザーを広げることに成功しました。


LG styler

――このコミュニケーション方法の変更がヒットの要因ですか。

 それに加えて環境の変化も大きかったと思います。韓国では現在、PM2.5や黄砂などの大気汚染が発生しています。ホコリを落とす、除菌ができるといったLG stylerの機能は、コートや制服、スーツなどを毎日着る人たちに必要なものになりつつあるのです。

 また、ユーザーの意見を聞きながら機能も改良しています。例えば「ズボン折り目ケア」は、LG stylerのシワ取り機能により、スーツのズボンのプレスが取れてしまい、あとからアイロンがけが必要になるとのユーザーの声から追加した機能です。また熱風による乾燥は生地が傷むという声を受け、低温乾燥も取り入れています。

  • BtoC向けモデルは角がラウンドしており、BtoB向けモデルはスクエア型を採用しているという

  • 「ズボン折り目ケア」機能

  • 見た目からは何ができるかわからないため、店頭展示用は透明窓を設け、中身が見えるようにしている

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