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アジアで急成長するネット広告ベンチャー「AdAsia Holdings」--十河CEOに聞く初年度の成果

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 創業時に本連載で取り上げた日本人起業家の十河宏輔氏がアジアで展開するネット広告ベンチャー「AdAsia Holdings」が好調だ。2016年4月にシンガポールでグローバル本社を設立し、それからわずか1年の間に、初年度での黒字化の達成、300社以上の顧客企業の獲得、社員数85名への組織体制の拡大、6カ国7都市での拠点開設、これらすべてを成し遂げた。

AdAsia Holdingsの十河宏輔CEO
AdAsia Holdingsの十河宏輔CEO

 そして、この4月にはアジアのネット広告ベンチャーのシリーズAラウンドとしては史上最大規模の資金調達を実施(詳しくは後述)。日本を含む新規市場への参入、人員体制の強化、AIを活用したプロダクト開発などさらに攻勢をかけていく。そんなAdAsia Holdingsの経営状況や今後の展望について、創業からちょうど1年が経過したこのタイミングで十河氏に話を聞いた。

――創業からこれまで1年の定量的な成果について教えてください。

 初年度から黒字化を達成し、300社以上の顧客企業を獲得、組織体制は全拠点で85名へと増員、6カ国7都市に拠点を開設できました。シンガポール、タイ・バンコク、インドネシア・ジャカルタ、ベトナム・ホーチミン/ハノイ、台湾・台北、カンボジア・プノンペンに拠点がありますが、特にタイ、インドネシア、ベトナムの成長が著しく、直近のグローバル全体の単月売上は150万USドル(約1.7億円)超です。

急成長しているというタイ・バンコクのオフィス
急成長しているというタイ・バンコクのオフィス

ーー多くの顧客企業を獲得してきましたが、どのような点が評価されていますか。

 ユニークな独自プロダクトの開発と顧客サポートの提供を、スピード感を持って実施している点です。2016年は、独自の動画広告フォーマット「AdAsia Video Network」や、インフルエンサーマーケティングのプラットフォーム「CastingAsia」など、1年で6つのプロダクトを公開しました。

 弊社が支援した広告キャンペーンの実施前後で、実際にお客様の売上が顕著に伸びたという実績もあり、ご満足いただいています。企画・プランニング〜キャンペーン運用〜レポーティングまで、一気通貫で支援できる社員の育成の採用は特に重視しています。


「AdAsia Digital Platform」の顧客企業用の管理画面

ーー想定よりも苦戦したことはありますか。

 課題は、事業のオペレーションについて効率化を図る余地があることです。さらに合理的かつデータにのっとった経営をしていくために、各国のキャンペーン単位での売上、粗利をリアルタイムで計測する仕組みを作っていく必要があると考えています。

ーー前回の取材(2016年6月)では、3年以内の上場を目標の1つとして掲げていました。

 2016年は良いスタートを切り、会社と事業の土台を作れました。上場の目標についても、変わらず手応えを感じており、2017年はさらに成長を加速していきます。ただし、スモールIPOをするつもりはありません。着実に長期・短期、双方の目標達成を重ね、上場は通過点として、アジア最大のアドテクノロジ企業になることを目指して精進あるのみです。

「The 2017 Mumbrella Asia Awards」では「Under-30 achiever of the year」を受賞
「The 2017 Mumbrella Asia Awards」では「Under-30 achiever of the year」を受賞

ーー4月5日にはJAFCO Investmentからの資金調達を発表しました。

 調達額は1200万USドル(約13.6億円)と、アジアのネット広告ベンチャーのシリーズAラウンドとしては史上最大規模と認識しています。創業時は創業メンバーの自己資本で事業を開始しました。その後、早期に黒字化を達成し、増資の必要なく成長してこれました。この1年間で、対外的にも「結果を残せるチームだ」とアピールできるようになったと思います。

 そこで、事業拡大のスピードを上げ、レバレッジを効かせて経営するために、今回の増資を決断しました。東南アジア以外にも、日本、中国といった東アジア諸国でも勝負をしかけたいと考えており、そうした成熟市場においてはある程度の投資額も必要だろうと考えました。価値観がフィットする投資家とめぐり会えたことも、決断の理由の1つです。新たな株主=仲間であり、引き続き上場に向けて積極的に仲間集めをしていきます。

ーーJAFCO Investmentからはどのような点を評価されたのでしょうか。

 ネット広告に限らず、東南アジアで黒字化を果たしているベンチャーが少ない中、利益を出している実績やマネージメントチームの経営手腕です。「マルチナショナルな経営を初年度からここまでできている会社は見たことがない」という声もいただきました。彼らも、弊社がアジア最大のアドテクノロジ企業になれると信じてくれています。

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