シャープ、脱・家電メーカーへ--戴社長が見据えるIoT企業への転換

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 シャープの代表取締役社長である戴正呉(たい・せいご)氏が3月31日、社内イントラネットを通じて、社員にメッセージを配信した。


シャープの代表取締役社長である戴正呉氏

 2016年度の期末を迎えたことにあわせて、これまでの成果を振り返るとともに、4月1日から始まる2017年度に向けた方針を示す内容となっており、「2017年度のキーワードは“トランスフォーメーション(転換)”ともに新生シャープを創ろう」と題している。

 戴氏は、「トランスフォーメーションの推進には、みなさん一人ひとりの仕事のやり方や、発想を変えていくことが必要であり、全員一丸となって、新たな取り組みにチャレンジしてくれることを強く期待している」としている。

 メッセージの冒頭では、「社員のみなさんとともに、シャープ再生に全力を挙げてきた2016年度も今日が最終日。現時点では、2016年度の通期業績は、順調に着地ができる見通しにあり、みなさんのこの1年間の頑張りに、改めて感謝する。本当にありがとうございました」と、社員に向けて感謝の言葉を示した後、3月13日に大阪府堺市のシャープ本社において開いた記者会見について言及した。

 36社60人の記者が出席したことに触れながら、「さまざまな質問があったがその関心の多くは、当社の今後の成長の確実性に対するものであった。今、私たちがなすべきことは、一刻も早く、力強く、そして持続的な成長(売上拡大)を、実績で示すことである。その道標となるのが、5月に発表する中期経営計画である」とした。

 会見で示したスライドを表示しながら「シャープはこれまで、世の中から“家電メーカー”という見方をされてきたが、これからは“人に寄り添うIoT企業”を目指し、業態転換、すなわちトランスフォーメーションを進めていく。このためには、単に個々の商品を変えていくだけではなく、ビジネスモデルや戦う市場などを大胆に見直していく必要がある」とした。

 具体的な例として「個別商品のラインアップや仕様、デザインはどうするか?」ではなく、「事業をどうやって広げるか?」という事業企画の視点が重要だとし、「そうすれば、事業領域全体を見渡した商品カテゴリの広がりや、一貫性のあるデザインなど、事業の総合力を高める発想に至り、さらには、シャープのCI戦略(Corporate Identity)の強化につなげることも可能である。加えて、M&Aやアライアンスの積極活用、社外リソースを活用した商材の拡充、メンバーシップの構築、お客様の生活に密着したサービスやソリューションの提供など、事業拡大に必要となるさまざまな打ち手も見えてくるはずだ」と述べた。


新生シャープの方向性

国内の勤務者に年度末特別手当てを支給

 こうした取り組みの1つとして、3月21日から2日間にわたって、福山事業所で開催した「第2回IoTコンベンション」をあげた。「今回は、福山市役所および広島県庁の方々にも参画いただき、IoTによって地域が抱える課題をいかに解決するかという視点で、活発に議論するとともに、自治体と連携したスマートシティ構想の具体化に向け、スタートを切った」とした。

 記者会見で明らかにした「信賞必罰」の方針に沿った新たな人事政策についても、「優秀/若手人材の活躍を後押しする人事政策」と位置づけて言及した。

 シャープでは、2017年度の賞与において、年間4カ月分を原資とし、1~8カ月に分配するメリハリのある賞与支給や、社長特別賞を授与することを発表している。さらに、通年採用の実施、第2新卒採用の拡大のほか、等級、給与制度の改革により新入社員も、力に応じて、入社後すぐにやりがいのある仕事に挑戦でき、成果を上げれば短期間で高い処遇を受けられる仕組みを採用することも示している。

 戴社長は「私は人事評価の判断基準は、業績への貢献、責任感、能力(基本的ビジネススキルと会社方針を遂行するための創意や変革力)の3つが重要だと考えている」と前置きし、「こうした観点から、みなさんの能力向上の機会として、等級別のマネジメント研修や、経営管理・財務をはじめとした専門研修、法令・社内規定に関する研修など、さまざまな研修プログラムを再整備のうえ、提供していく。加えて、業績改善が順調に進んでいることから、2016年の株主総会で決議したストックオプションについて、近々業績貢献のあった幹部、マネージャー、一般社員に付与することで検討を進めている」とし、「今回は、初めての試みであり、トライアル導入の位置づけとなるが、より良い制度へとブラッシュアップをしながら、当社の重要な報酬制度として定着させていきたいと考えている」と述べた。

 また「当社は、経営不振が続く中で、厳しい採用活動を強いられてきたが、2016年末以降、大きく潮目が変わったと感じており、新たな人事政策の導入により、今後は、優秀な人材や若手人材を数多く採用していきたい」とした。

 さらに「年度末にあたって、何よりも社員のみなさんに具体的な形で、感謝の気持ちを示したい」とし、「できれば、全社員が一堂に会し、直接、みなさん一人ひとりを労いたい思いではあるが、さすがに、その開催は現実的ではない。そこで本日、みなさん一人ひとりの頑張りに対する『感謝のしるし』をお渡しすることにした。少額ではあるが、1年間ともに頑張ってきた職場の仲間との親睦会や、支えてくださったご家族への労いの費用の一部として活用していただきたい」と、特別な手当を支給することを発表した。

 なお、今回の支給対象者は、構造改革に一定の目途がつきつつある国内の勤務者とした。

事業拡大に向けた反転攻勢の勢いをさらに加速

 一方、2017年度に向けては、4月5日から4日間にわたって、全マネージャーが出席する「2017年度経営検討会」を開催。事業本部に加えて、アジア5販社の責任者も参加し、販売拡大戦略だけでなく、構造改革方針についても議論する予定であることを示し、「2017年度は、国内から海外の構造改革にシフトし、集中的に取り組む方針であり、検討会での審議結果に沿って、それぞれのビジネスユニット、販売会社ごとに、責任を持って、計画を実行に移してもらいたい」とした。

 さらに「年明け以降、事業拡大に向けて反転攻勢をかけているが、明日からは、その勢いをより加速する必要がある。いま一度、私たち一人ひとりが、誠意と創意に立ち返る“Be Original.”と、全社員の結束を示す“One SHARP”、そして、当社の行動規範である“正々堂々の経営”という3つの基本ポリシーに立ち返り、自らの仕事を見つめ直したうえで、新年度を迎えよう」と呼びかけた。

 シャープの業績回復は着実に進んでいるように見える。そして、今回のメッセージでは、その成果を信賞必罰の人事制度によって、評価する仕組みを本格的にスタートさせる姿勢をより明確に示した。国内勤務者を対象にした今回の特別手当の支給も、それを示したものだといえるだろう。

 だが、2017年度の方針に掲げた「トランスフォーメーション」の推進は、さらなる改革を予感させるともいえ、2017年は、さらなる国内体制の強化だけでなく、海外体制の再構築に本格的にメスを入れることになりそうだ。

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