CNET Japan Live 2017

社会課題は日本を変革する“天然資源”--IBMがとなえる「コグニティブ」

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 ビッグデータ、ディープラーニング、クラウドコンピューティング、そして人工知能。こうしたテクノロジが生み出すコグニティブコンピューティングは、これからの社会をどのように変革するのだろうか。


日本IBM 戦略コンサルティング&デザイン統括 コグニティブ・イノベーションセンター 統括エグゼクティブの的場大輔氏

 2月22日に開催された「CNET Japan Live 2017 ビジネスに必須となるA.Iの可能性」での講演「コグニティブで変革する日本社会」では、日本IBM戦略コンサルティング&デザイン統括コグニティブ・イノベーションセンター統括エグゼクティブの的場大輔氏が、コグニティブコンピューティングの本質と実際の事例から日本が何を学ぶべきかを語った。

 IBMでは、国立情報学研究所とともに、コグニティブ技術によって拓かれるイノベーションの発掘と創出を目的とした「コグニティブ・イノベーションセンター(CIC)」を設立。20社以上の大手日本企業の経営陣と、新しい社会価値創造と先進的なビジネスモデル創出に取り組んでいる。

技術を導入することの、本当の意味を考える

 「コグニティブ」という言葉は、近年IBMが提唱しているキーワードのひとつだが、的場氏はこの言葉について「人工知能は機械学習という狭い領域の言葉であるため、IBMでは“学習する”を総括した言葉としてコグニティブという言葉を使っている。一方で、AIという言葉もIBMは使っているが、これは人間の能力を補う『拡張知性(Augmented Intelligence)』という意味で用いている。コグニティブは単なる技術ではなく社会の大きな変革(イノベーション)だ」と説明。

 その上で的場氏は、現代のグローバル社会において「新しいエクスペリエンスと破壊的に革新的なビジネスモデルの創造によって、デジタル・リインベンションが次々と起きている。UberやAirBnBは車や不動産を一切持たずにビジネスを展開し、Facebookは一切コンテンツを作らずに世界一のメディアを作っている。その原動力となっているのはコグニティブコンピューティング」と指摘。企業がコグニティブによってさまざまなデータを学習し、これまでとは異なる視点で世の中を捉えることで、今までにない商品やサービスが生み出されているとした。


コグニティブが原動力となり、デジタル革命が進む

人工知能にまつわるニュースは毎日のように生まれている

 では、コグニティブコンピューティングの実態とは何か。的場氏によると「データの意味を理解すること」「その先の仮説を立てて推論すること」に加え「学習すること」という、3つの要素で構成されているという。

 「学習するというのは人間っぽいことだが非常に大切だ。例えば、高いポテンシャルがある人であっても学習しなければ優秀な人間には育たない。それと同じように、ポテンシャルの高い人工知能などのコグニティブ環境に高額な投資をしても、それに十分な教育(経験値)を与えて学習させなければ、価値は生まれない」(的場氏)。人工知能などの技術を導入するだけでなく、学習環境を整えることがコグニティブコンピューティングにとって非常に重要なのだ。

 加えて的場氏は、「コグニティブは技術を導入することではなく社会に貢献するという目的を実現することだ」と説明する。具体的には、新しい取引形態の実現、より良い製品・サービスの創造支援、プロセスと運用の改善、専門知識を活用する支援、人の能力を高めて探索や発見の高速化、新しいビジネスモデルの創出という6つの目的だ。人工知能などのコグニティブコンピューティングの導入は“目的”ではなく、ここに挙げた6つの社会貢献の方法を実現するための手段にすぎない。


コグニティブを構成する3つの要素

コグニティブビジネスが目指す6つの目的
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